ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

アメリカン・スナイパー

「イラク戦争」を取り扱っているこちらの作品。
ちょうど5年前の同じくイラク戦争を一端を描いた『ハート・ロッカー』を観賞した際の記事が、当ブログにあったりします。
それがちょっとリンクを貼るのも躊躇するようなもので、いや~まったくお恥ずかしいのですが。


当時はまさに「イラク戦争」真っ只中。


そんななかで私が残していたことばは、

戦争は良くないに決まってる。だけれども戦場に"正義"は存在する。

とな。


いやいやいや、


戦争に"正義"もなにもない。
戦争ダメ、ゼッタイ。




平和ボケの頭にバチーン張り手をされたような、衝撃的な映像。
こうして「イラク戦争」が終わった(とされている)いま、
改めて、ニュースで垣間見てきたアレコレを感じては、
やっぱりこの出来事がとてもじゃないけれど現実に起こっていたのだと信じられない。
けれど、かみしめなきゃいけない。
そんなことを思わせる作品でした。




作品としては、もうひとこえ!!!!!
もう少し主人公の精神世界に踏み込んでみてもらいたかった。


「地味」ながら、その「地味」さは、
余計な「脚色」を排してあることからゆえなのだと今回は解釈しています。
それにしても、もう少し主人公の「家族」の繋がりの強さのようなものが欲しかった。
映像表現は素晴らしく、ピンと張りつめた緊張感がすごい。


アウェイ(戦地)とホーム(家庭)を行き来する主人公・クリス(ブラッドリー・クーパー)のリアリティが良くも悪くも薄い。
"「戦地」へ行く"という行為が非常(非情)にインスタントに描かれており、
逆にそれが「戦争」の虚しさを感じさせます。
ゆるやかに続く「戦争」と、流れる時間がちぐはぐで、
それがまたクリスとその周りが壊れていく様を静かに表していたような気がします。


監督・クリント・イーストウッドは御歳84歳というではないですか。
そんな監督が今作のような容赦のない描写を当ててきたことは本当に凄いことだと思います。
けれど、酸いも甘いも見てきた氏のような視点を私はまだまだ持っていない。
今作は、よくできた戦争映画であるには違いないのだけれど、
おそらく監督が伝えたいであろう繊細な部分は、届かない層には伝えるのは難しいのでは。


また、これは私が阿呆なだけなんだろうけれど、主人公・クリスをはじめ、
登場人物がみんな似てて、誰が誰なんだか大混乱しました。
この無個性なアメリカ顔の羅列がよりなんだか生々しい、と勝手に感じております。
クリスの妻・タヤを演じたシエナ・ミラーがとっても綺麗でした。




以下、ネタバレあります。




まさかの赤ん坊に人形を用いていたのにはびっくりしちゃいました(笑)


エンドロールはクリスへの喪に服してということか無音。
(最初は音響トラブルかとも思いました)
私もクリスを思い静かにスクリーンを見つめていました。