ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

波紋


嫌悪、


ということばがずっと漂っているような映画だった。


にわかには信じがたい、『かもめ食堂』や『めがね』の荻上直子監督作品。
けれど画が美しく、整理されたカットからはなるほど萩上監督!、ともなった。
とにかく豪華キャストが揃い踏み。
それなのに内容はタブーの特盛、ディティールは悪質で萩上監督作品だという事実があってこそ、嫌悪感より微笑がやや勝る感じ。




主人公・依子(筒井真理子)に対しての周からの当たりが強すぎて、
自分をいちばん愛せるのは自分、人生はアイラブマイセルフ!だと改めて思わされた。
逆にいうと人間は基本的に孤独であるということだなとも。


主人公は自分なりに家庭を保っているだけ(ではないけど)のに、
家族内では悪役のようにされていたのが居た堪れなくてしょうがなかった。
明らかに旦那が悪いのに旦那と息子がメンズ特有の仲間意識持ち始めて、主人公に対して共通敵!みたいな空気になるの、いくら見た目が光石研と磯村勇斗でもかなりきつかった。


ただ、そんななかでも主人公は自分の人生は自分のもの、
ということを終始ブレずに貫いていたと思う。
周りから見るとどうかしていると思われるところもあるけれど、
それらの行動もすべて自分自身で選択していた。
依子は自立した女性だった。
ラストのフラメンコのダンスはその集大成だと思う。
フィナーレにふさわしい、天晴れな舞いだった。


依子が職場の木野花演じる清掃員・水木さんと仲良くなって、
顔がほころぶ場面がどんどん増えていったのが私はとても嬉しかった。
そして隠されていた"優しさ"も見えてくるようになる。
水木さんの自宅に行った際に、忘れていただろう感情を爆発させる姿は印象的だった。
それ以外の場面とのコントラストを巧みに演じ分けた筒井真理子という女優の演技ったら凄かった。




私は好き。