微笑みの国、テンちゃんの国の映画。
そこで描かれていたのは、私の知ってるタイではなかった。
微笑みだけではやっていけないんだぞ、といい意味で新しい視点を与えてもらったと思う。
主人公はほとんど微笑んでないし、微笑んでいる場合じゃない。
近年稀に見る胸糞映画だった。
悲しい。本当に悲しい。
この悲しさをどうして娯楽にすり替えようと思うんだろう。本当に悲しい。
『ベイビー・ドライバー』のときと似てるんだけど、
ちゃんとエンターテイメントとしてすごくおもしろいからこそより悲しい。
エンタメとしておもしろがっている自分にも腹がたつし、なんだか申し訳なくなる。
いっそつまらなければよかったのになぁ。おもしろかったんだよなぁ。
こういう、作品の根本的な部分が「わからない」となると、わけがわからなくなる。
なんでこんな悲しいものを?、というので頭がいっぱいになってしまう。
スタイリッシュ…スタイリッシュ…なのかな…もうわからん。
確かに映像はカッコよかったし、もちろんストーリーだってスリリングですごくおもしろかったしそれを助長させた。
でも私は悲しかった。途中からずっと悲しくてしょうがなかった。
スタイリッシュといえば主人公のリンを演じたのはモデルのチュティモン・ジョンジャルーンスックジン(さすがタイ、名前が長い)。なんと9頭身。
インスタグラムではさすがモデル様炸裂です。
そんなこともあり、彼女が主人公でいてくれたことによって眉をひそめるような悪事も、
なんだか綺麗に仕事してるように見えるんですよね。
また彼女のスタイリングもふだんのモデル然としたものではなくてとても素朴で。
本作のほぼすっぴん仕様でも漂うえぷのクリスタルみ。
ルックスがとてもさっぱりしていて味気ないくらいで、でもそういうところがよかった。
そして、演技がめちゃくちゃ格好良いんですよ。これは頼ってしまいたくなる。
そんなスーパーウルトラソークールなリンがお父ちゃん~~~~~~~~ってなるんですよ!
くっそーかわいいじゃん!
金持ち男カップルには嫌悪すら抱くものの、リンの気持ちはわかるところがある。
だから余計に悲しい。
バンクは巻き込まれたうえに本当に何もかも失ったうえ、善良な心まで失ったじゃないか。
これが悲しくなくてなんなんだ。
映画のその後の話はわからないけど、バンクが心穏やかに過ごすエンドにならなかったら金持ち男カップルには地獄に落ちてもらうしかない。
たしかGOT7のベムちゃんのお兄ちゃんの名前が"お金が貯まるように"と「バンク」だそうで、
そういう流れもあって本作の「バンク」の名前が「バンク」だったのはおもしろいよなー。
ちなみにベムちゃん、そのお兄ちゃんの本名は長すぎて覚えてないらしいという(笑)
あとバンクはニックンに似てて、K-POPアイドルのタイ人メンバーだわーと。
そんなバンクを演じたのはチャーノン・サンティナトーンクン。
金持ち男カップル、グレースとパットを演じた役者さんの名前は、
イッサヤー・ホースワンとティーラドン・スパパンピンヨー。スパパンピンヨー。(復唱)
さすがチッタポン・リチャイヤポンクルが誕生した国。世界は広い。