ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

Wanna One「1÷χ=1 (Undivided): Special Album」発売記念~個別ハイタッチ会~ オン・ソンウ 6部 in 東京ビックサイト西3ホール


平成最後の夏、
私はオン・ソンウと手と手を合わせたのでした。





個別ハイタッチ会、オン・ソンウ 6部。


これは勝たなきゃいけない戦いでした。同点でもだめ。
たった一回のハイタッチだから。


そのくらい気合い十分で挑んだのですが、
先に結果を言ってしまうと、
個人的にはサッカー日本代表のかわりにベスト8にくいこんだくらいやりきった感が。


要するに、めちゃくちゃ最高なひとときを過ごすことができました!




たった一回なので、上記のとおり、"ハイタッチ会に勝つ"という目標を掲げ、
前日に行われた大阪でのハイタッチ会での様子もチェックしたり、いろいろ探っていました。
だって負けたくないもん!




で、いざ戦いの場へ。




あれよあれよという間に会場に到着し、受付を済ませ、列に並ぶ。
列が進み、ついにオンさんのいるブースへ。そしてブースの中へ。
覗き込むようにして、ついに!オンさんが!視界に入った!


…のですが!






!?






私が初めて間近で見たオンさんは、私の記憶のなかのオンさんフォルダにはない、
まるで菩薩のようなすごい慈悲深い笑顔でいらっしゃいまして、
「これって本当にオンさん!?」、っていう衝撃で頭のなかがぜんぶふっとびました……
こんなオンさんまじで見たことないんだけど…これはまじでオンさんなのか!?


というか、まるで発光しているかのように、輪郭がぼやけてたんだけど。
だから、「に、にんげん!?」となった。まじで。




大混乱。




とりあえず、「手が触れてからスタッフがカウントしはじめる」という情報を得ていたので、
ハイタッチする前に目の前よりちょっとだけ距離をとったところから、
平静を装いつつオンさんに「もしった〜!」と言いました。
いや、でも本当に格好良かったし。っていうか綺麗。


それに対してオンさんは「〇〇〇〇〇~!」と答えてくれたのですが、
なにせ菩薩笑顔が衝撃的すぎて何を何と言われたかとかそれどころではなくてまったく覚えていません(爆)


「もしった〜!」が言えたおかげで結構長くオンさんと対面できていた気がします。
でももしった言いながら、あまりの顔の小ささと体の細さとしっかりした肩と…
要するに漫画みたいなスタイルと、まじガチ陶器のような白さ、
そしてなにより今までに見たことのない菩薩笑顔にまじでびっくりしてしまって…!




そして、目の前の生オンさんに圧倒されたままの私は、
触っていいものかと戸惑いながら恐る恐るオンさんの手に触れました。
触れる前の時間は、時が止まるとはこのことかと思うくらい、ゆっくりに感じられました。


で、「ハイタッチ」。


でも、「ハイタッチ」ではなかった、どちらかというと「握手」。
私はずっと驚いたままでオンさんの顔を見て思考停止していたのだけれど、
手は優しく、スーパーソフトタッチで包み込んでいただきました……
もはや「おてて包み込み会」みたいな。
まじで顔しか見えていなかったから定かではないのだけれど、
感触だけでもほっそい指の両手で優しく優しく包んでくれていたのだとわかる…
オンさんの手はひんやりさらさらするするでした……




そんなこんなでことばが出てこないままオンさんと手を合わせていると、
スタッフの方に肩をたたかれました。
オンさんの顔にしか意識がいっていない私はそのときにはっと我に返って、
でも言いたかったことばもふっとんでいてしまっていて、
とっさにオンさんに目で訴えながら自分で頭を撫でるジェスチャーをしました。


そうしたらオンさんはそれをわかろうとしっかりと目を見て考えてくれて、
頭を撫でてくれたのです……………


「ぽんぽん」じゃないよ…「なでなで」だよ……
そのあいだ、スタッフの方は待っていてくれました。
スタッフの方にも恵まれました。




そして、しどろもどろになりながらも、
最後に「さらんへよ~!」とハートをつくって挨拶することができました。
それにもオンさんは「〇〇〇〇〇~!」と、相変わらずなんて言ってくれたか覚えていないのですが、満面の笑みでバイバイ~って手を振って見送ってくれたのでした。




~完~




とにかく対面した「オンさん」のインパクトが凄すぎて、
言われたことばとかもまったくわからなかったわけですが、
声はやさしくてソフトタッチなのは覚えています。話し方がめちゃくちゃ優しい。
ハイタッチというよりもはやどちらかというと握手の類のそれもソフトタッチ…
頭撫でるときもソフトタッチ…ソフトタッチオンソンウ……


あと、すさまじい包容力で、すさまじく落ちついていて、
こちらが顔を見て呆然としているあいだも、
ずっとずっと手を包んで目を見て笑顔でいてくれた…あの菩薩笑顔で。


私は身長が低いのでだいたいの男性は私にとっては大きくて、
オンさんもただでさえ二次元体型ということで例にもれず、だったのですが、
目を合わせてくれているときはちょうどいい位置に顔があるくらいの態勢でいてくれました。


公式ツイッターの集合写真でブルーのシャツを着ていたことがわかったのですが、
オンさんが白すぎて発光していたせいなのだろうか、
私の記憶ではシャツは白だったはずなんですよ…おかしい……
そして写真のオンさんは私の見たオンさんではない…!ちがう!




本当に、見たことのないオンさんをこの目で見ることができて、
あんな菩薩笑顔で天使対応してくれて…オンさんて天使だったの?????
もうわけわからん…オンさんて何者なの…?
いや、あの天使こそがオンさんなのか…!


そう、




オン・ソンウは、天使だったのです。




知らなかった。


いままで私がおもに液晶などを通して見てきたオンさんてなんだったんだろう……
全然ちがうひと…というか全然ちがう生き物…いまはもう天使以外に形容できない……
人間というよりは天使の方が近いと思います、本当だよ!




菩薩笑顔ソフトタッチオンソンウ天使の衝撃のあと、
そのときにミニョンくんの団扇をバッグに忍ばせていたことに罪悪感が…(ノリで買ってしまった)




今回のような、ブースのなかが見えないのってすごくいいですね!
前後の様子がほかのひとに見えると、なんか余計なこと考えちゃったりするので。
ハイタッチという短い時間だからこそ、よりそれがよく思えました。






オンさんは、『Wana One』の活動が終わったら、
もう「アイドル」はやらないかもしれないとずっと思っていて。
だってワナワン以外でアイドル活動する姿がまったく想像できない。


"「アイドル」のオン・ソンウ"、"『Wanna One』のオン・ソンウ"。


つかの間の時間でしたが、
オンさんがアイドルであるときに、
たったの数秒でもその瞬間に居れることができた喜びを噛み締めたいと思います。


本当に、本当に、運に恵まれていて…貴重な体験をさせていただきました。
日々のいろいろなことに感謝したいと思います。
オンさん、だいすきです。ありがとう。

BPM ビート・パー・ミニット

それは闘いの記録だった。


映画のパワーがすごすぎて上映終了後も圧倒されたままで、
劇場から出てロビーにある椅子に腰をかけたものの、なかなか立つことができなかった。


『第70回カンヌ国際映画祭』(2017年)グランプリ受賞作品。
『万引き家族』は翌年、というか今年、第71回のパルム・ドール。)




日本でも踏襲されているキービジュアル、すごく好き。



前日に観た『君の名前で僕を呼んで』では、
同じく主軸となる同性同士の恋愛模様を見てBLだBLだと興奮しまくっていたのがうそみたい。
ふたつはまったくベクトルが違う作品であるにしろ、それにしても、という感じ。


『君の名前で〜』も本作『BPM』もLGBTがどうのっていうところとはまったく別の角度から同性間の愛を描いていたのが本当にすごい。
前者は「BL」だし後者は「闘いの記録」だもん。
それぞれの作品の主人公たちが同性同士で愛し合っているというだけで。




登場人物たちは、「世間」をはじめとしたいろいろなものと闘っていたけれど、
同時に自身らとも闘っていたと思う。


まるでドキュメンタリーのようなミーティング・議論のシーンをはじめ、
抗議運動をはじめとしたあらゆる活動はまるで各々が自らを鼓舞しているかのように見えた。
それらからいっとき解放されたかのようにクラブで踊る姿からは、
そういった闘いの最中の彼らを感じさせず、余計にその印象を増長させた。


いまより"少し前"が物語の舞台だけれども、
作品自体はとてもソリッドでスタイリッシュに仕上がっており、
つくり手が"「いま」へ伝えたい"という気持ちが見てとれる。




学生のときに、課題でエイズに関するポスターを制作した。
とにかく"コンドームをシンボリックに表現"し、日常に馴染むものを意識してつくった。
出来上がったポスターはそこそこ評判がよく、展示されたり賞をもらったりした。
でもそのときの私は、実のところエイズのことなんてきっとまるでわかっていなくて、
プレゼンのときにことばだけで"セックスのときにコンドームを使用する必要性"を述べてみたものの、それはほぼポーズだったと思う。
私は与えられた課題に対してただ"コンドームをシンボリックに表現"したかっただけで、
いま思えば、それらは後付けの文章のようなものだった。


これまでエイズというものにいちばん触れたのはそのときだった。
自分の表現のための情報しか頭に入れていなかったため、
本作を観ては、こんなにも、なにも知らず、よくあれを堂々と発表できたなと。
まぁ私も幼かった。いまもだけれど。


"HIV陽性でもコンドームを使えばセックスできる"というのは、
言葉だけで認識していたときは素直に理解したつもりでいたものの、
実際に映像で観るとかなりビビってしまっている自分がそこにいた。恥ずかしい。
嗚呼、「無知は敵」・「知識は武器」、おっしゃる通りでございます。




悲しい、悲しいラストだった。
そこにいた「母親」はとても偉大だった。


その悲しさと常に向き合わなければいけない彼らは、やっぱりまた踊っていた。
一見、仲間たちに囲まれて大勢で一体になって踊る彼らは幸せそうではあるが、
刹那的な演出からはそれぞれの先にある「死」という孤独を感じざるをえない。


けれど描かれていた孤独、そして全編で描かれていた闘いの記録は、
決して作品のなかの「彼ら」だけのものではなくて、
同じ体験こそしないものの、私のような人間でさえも、持つものだったと思う。
だから涙が止まらなかったのだろう。

君の名前で僕を呼んで(二回目)

エロ本が目の前にあったら黙って見ちゃうでしょ?



ありがとう、地元のミニシアターよ。
おかげさまで劇場で二回目を観ることができました。


一回目に観たときに、とにかく「すごくいいBL」だと思ったので、
そんな「すごくいいBL」をあますことなく摂取してやるぞとやる気満々で鑑賞に至りました。




エロい!美しい!エロい!美しい!




と、繰り返し脳内で絶叫していたせいで頭が痛くなりました(バカ)


二回目なので映像は当然見たことのあるものなのだけれど、
前回はストーリーと映像を追うことで精一杯だったぶん、
音楽の効果が際立ってとにかく素晴らしく感じられて。というか本当に素晴らしかった。
そんな音楽に加え、映像も見れば見るほど計算しつくされたカメラワークが最高すぎます。
オープニングからたまらん!エロい!美しい!と悶えまくっていました。


いまにもずり落ちそうな腰履きのトランクスや、
短かすぎるショートパンツはやっぱり見慣れない(笑)
あんな世界に行ってしまったら私はずっと鼻血だしてると思う、氷とタオルじゃ済まない。
だって主人公ふたりが、エリオもオリヴァーも、すさまじくエロいのですのよ。
スクリーンのなかはえらいことになっている。




そんなこんなで私も鼻血が出る勢いで中盤までは大興奮していたのですが、
さすが二回目、なんか観ているうちにいつの間にかめちゃくちゃ冷静になってしまって。


とくに前回も思った「オトコってのは…!」な部分には良くも悪くもすごく目がいった。
それらを「かわいい!」とも思うし「しょーもな!」とも思うし「ひどい!」とも思うし、
本当に「オトコってのは…!」と、ある意味よりリアリティを感じたりしました。
あと桃のシーンはかぶれないの?、とか思ったり(まがお)


そしてとにもかくにもこれほどまでに親に自分の愛欲とかを見透かされているの、
めちゃくちゃ恥ずかしい!!!!!イヤアアアアアア!!!!!、となってしまったのは、
やっぱり生まれ育った環境によるものなのですかね。
終盤のトーチャンが語りかけていたシーンは、うんうん、と(私が)相槌を打つ一方で、
これは、同性を好きになる云々を抜きにしても、自分自身が体験することでわかっていくことなのではと思うので、かなり違和感を感じてしまいました。
まぁ「作品」ですから。なのでしょうけれど。




そういった点らを含めても、あたらめて「すごくいいBL」だと思いました。
ぜんぶぜんぶまぶしいほどきれいな「作品」というものに昇華させてしまう。


ラストのバッサリ感も、映画のテンション的にいい感じに裏切ってくれて気持ちがいいです。
ネックレスのくだりや名前を呼んでのくだりなど、
初見では雰囲気に飲まれすぎていて(それはそれで本当にいい体験だった)、
単純に気がつかなかったり、よくわからないままぼんやりとしていた部分がしっかりと補完できた気がします。





※写真はイメージです。ジャニテンてすごい。




本当に「すごくいいBL」なので、機会に恵まれてとってもとっても嬉しいです。


劇場内のお客さんの数はギリ10人に満たない感じだったのだけれど、
全員女性かつおひとり様で、観終わったあとみんなでお茶したい勢いでした(笑)


おかわり、ごちそうさまでした。

UNB「BLACK HEART」

とんだダークホースだった。


今年の俺のK-POP楽曲大賞は『UNB』の『BLACK HEARTだわ。(暫定)
正~直、最近の界隈の傾向から察するに、
いまのところ、この曲を超えた私好みど真ん中が出てくるとは思えない。
ちなみにこの曲が公開される前はSEVENTEENの『CALL CALL CALL!』がぶっちぎりの大賞候補でした。大好き。




とりあえず、MVティーザーでピンときたら、




(短いから!見て!)




フルのミュージックビデオを再生してみてください。



間違いないから!!!!!!!!!




話はそれからだ。




『LDN Noise』はなぜこれをエッセムにくれなかったんや…!
なんでEXOはパーワパーワだったんや…!
っていうかジャズ・ファンクとEDMのミックスとか、
まさかロンドンノイズ先生、私のためにこの曲つくったんじゃないの疑惑。


この曲がどれくらいツボかというと、まるで私がつくったのでは!?、と感じるほどで。
これはこぶしファクトリーの『押忍!こぶし魂』以来です!おめでとうございます!




本当に楽曲が好きすぎるので、
ビジュアル面のディレクションがすごく勿体ないな~~~~って思ってしまいます。
個人的に音楽というものにはまったく明るくないので、
とくにK-POPに関してはビジュアル面を含めたアプローチ全体を楽しんでいるというところがあって。



いやでもまじでビジュアルもっとなんとかならならんかったの?



ミュージックビデオは、めちゃくちゃなんとなくつくってる感じがくやしい!
「これやっとけばカッコいいんじゃない?」、みたいなシーンをつなぎ合わせた感というか。
もっと賢くヲタクを釣ってくれよと思ってしまう。


それはステージ衣装にもいえることで。

スタイリング、それでええんか?


テイストはMVとまんまいっしょなのだけれど、
あちらは映像作品として一応キメてきてるのが伝わってくるんですよ。
ただでさえ曲の構成や振り付けが盛り盛りでガチャガチャっとしてる(大好き)から、
ステージではビジュアルはクールでシックなほうが映える気がするんですが。



近年稀に見るスーパー見ごたえのあるすんげ~~~~~群舞っぷりなんですけど、
(とりあえず見たほうがいいので見て!)

…やっぱりお衣装がちょっと。


ビジュアルコンセプト全否定…いきなりでてきてえらそうにしてほんとすんません。




『UNB』とは「再起」をテーマにした、
サバイバル・オーディション番組『The Unit』(ドユニ)出身のグループ。
ドユニ版『Wanna One』ですね。
混成ではないにしろ、男子・女子のそれぞれを同時に行ったのは本当に凄い。
(でもぶっちゃけ男女分けてやったほうがファンがついたと思うのはここだけの話)
そしてそこで選ばれた9人の男性によるボーイズグループが『UNB』です。
ちなみにガールズグループは『UNI.T』という名前で追ってデビューしました。


ぶっちゃけ、世間的にこの番組は「コケた」とみなされている模様です(涙)
でもな!作品がよければ!そこでグループが評価されればそんなん覆る!と思う!


正直、今回の活動曲がもっと知られてほしいという思いに対して、
いま私にできることといえば、「『BLACK HEART』はいいぞ」とひたすら唱えることしかできないくらいには彼らについては無知です。
『U-KISS』の大天使マンネであるじゅんじゅんことジュンくんや『SMROOKIES』出身のハンソルくん、ボラちゃん彼氏のピルドク氏がいるのはわかっています。そう、無知。
でも今回、なぜか選抜された『UNB』メンバー・9人以外に参加しているドユニ出身者が何人かいて?(ハンギョルくんまじかっこいい)ステージには女の子もいるし?さすがにもうなんかよくわからん(涙)




ドユニ視聴者が、『UNB』メンバー=9位以内だったメンバーより、
「10位以下のメンバーのほうがアイドルグループのメンバーとして適しているのでは」みたいな意見もちょこちょこ目にしました。
私はドユニの放送を見ていないのでまったくなんともいえることがないのですが、
例えばUNBにはメインボーカルがいないのでは…?、的な。


でも今回の曲は、そういったアイドルグループにおける「役割」とか「パート」とか、
そういう部分を明確にしなくてもじゅうぶんなほど熱量と勢いがある作品だと思います。
アッパーなお祭り楽曲、待ってたひとにはこの曲自体が超朗報ですよ。
いい塩梅で煽ってくれてハイテンションすぎないバランスもとってもいい。


振り付け・ダンスもすごいですよね~こんだけ気合が見えるステージは久しぶりのような。
ちゃんと楽曲を自分らのなかに取り込んで、爪痕を残してやるっていう気概が感じられる。
軽率に好感度爆上がりですよ。




『UNB』、デビュー曲は、個人的には見事に埋もれてしまって。
というか、最近、本当にK-POPの楽曲で「これ好きだわ~」って心から思えるものになかなか出会えていないんです。


そういった意味で、この『BLACK HEART』は、
私のなかで『UNB』というグループの強いイメージとして刻まれることになりました。
そういう出会いって本当にひさしぶりなのでとってもハッピーなことなのです。


だから、とりあえず、とにかくMVティーザーを再生してみてくだい。
もしかしたらそれがあなたと『UNB』の出会いになるかもしれませんので。(誰)

万引き家族

すごく好きな映画だった。


泣けも笑えもしなかったけれど、是枝裕和監督がしっかり「幸せ」のビジョンを持っていて、
でもそれを観客に押し付けない、ジャッジさせる。


表現としてはちょっとあざとすぎると思った部分もあったけれど、
作品が真っ正面からぶつかってきてくれる感じが私はすごく好きです。




私が最後に観た是枝作品は『そして父になる』。これがまずかった。
私的にこの作品も是枝監督が持つ「幸せ」のビジョンを映したものだと思う。
けれど、作品のなかで正解をきっちり出してきてそれを押し付けてきたような気がした。
他の監督だったら、そういうのもぜんぜんアリだと思えるのだろうけど、
『奇跡』という作品をつくったひとの作品がこれかよ感がぬぐえず、がっかりしてしまった。
その後の何作かは、そのときのがっかりに加えて、キャスト陣のアイドル的な明るさと強さがキツくてスルーしてしまった。


そして今作『万引き家族』。
映画館にチラシが置かれたときからその素晴らしいスチールとそこにいるキャストの面々と、
そしてなにより明らかに煽っているかのような主張の強いタイトルに、心踊った。



そんでもって気がついたらカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞していた。
今回この作品を恵まれた環境で観ることができたのは「それ」が効いているのだろうけれど、
「それ」と引き換えにメディアなどでの取り上げられ方をはじめ、なんだかすごく煩わしい声を聞くこととなってしまったのも確かだ。
こういうのってノイズマーケティングっていうの?(違う)


そういったこともあり、観るタイミングは結構慎重になった。
ちゃんと作品に向き合いたかったし、作品を受け止めたかった。
それを心がけたおかげで個人的にはしっかりと映画を観ることができたと思う。自画自賛。




"ジャッジさせる"というのは考えさせたり感じさせたりすることも含むと思う。
正直、主人公たち「家族」それぞれの心象風景は、「わからない」とか「理解できない」とかいうところも多々あった。
でも、当たり前だ。私は「彼ら」じゃないから。
映される行動やことばだけではわからないところをキャラクターたちの内側にしっかりと抱え込ませていたことで、
観ている私自身がどこに立っていればいいのかと翻弄させられた。うまい。


あざといと感じたのは、その映されていた部分があまりにわかりやすかったからだ。
それらはまったくぼんやりとしてはいなくて、"人間が「生きる」"ということが是枝監督の文脈でかなりしっかりと描かれていたと思う。





キャストはもう文句なし。贅沢。
「うまい」と言われているひとたちがえげつなくそのスキルを披露しているのでそれだけでも観る価値がある。
それに必死についていく若手の松岡茉優がすごくキラキラしていた。
彼女だってもちろん「うまい」。『勝手にふるえてろ』もすごかったしな。


子役ふたりも「うまい」。
ただ「お兄ちゃん」(城桧吏)の顔がイケメンすぎるのはちと不自然だったけど(笑)
「妹」(佐々木みゆ)は、これまたあまりにも振る舞いが自然すぎて、
是枝監督はいつもどっからこういう子供を連れてくるの…とか思ったりした(笑)
でも、彼女は"是枝作品に登場する「子供」"のなかではとてもしっかりと演技をしていた。
立派な女優さんです。




好き嫌いのある作品ではあると思う。
でも、作品以外のところで批判をしたりするのは勿体なさすぎる。


観たひとの気持ちには添えないかもしれない。
でも観たひとの気持ちになにかが残るかもしれない。


感じたり、考えたり、そうやって自分自身の持つ「正解」にたどり着くことができるかもしれないし、迷路に迷うことになるかもしれない。
私はというと、迷路に迷っているクチだけれど、それでも好きな作品です。
できるだけたくさんのひとに観て欲しいと願います。


観てよかった。
この作品がカンヌなどで評価されて本当に嬉しい。

続・アイドルには心も身体も健康であってほしいんだよ。


もう総選挙なんて終わりにしたほうがいい。


私のなかの『AKB48選抜総選挙』は、
アイドルとファンが想いを伝えあうというものだった。
それは私の唯一無二の「推しメン」である宮澤佐江ちゃんが教えてくれたようなものだ。




今回、1位に輝いた松井珠理奈は、祝福されていない。


1位なのに。


むしろ彼女への批判が相次ぎ、
「アイドルとか興味ない」「AKBなんてもうオワコン」みたいな顔をしていたひとたちまで、
SNSという大拡散ツールによる大拡散に便乗して批判していたりする。
要するに大炎上真っ只中である。


『PRODUCE48』に出演していることで韓国でも注目が集まっている時期である。
今回のことを受けて、バッシングが凄まじいことで有名な韓国のネット上でもかなり話題になっているっぽい。




私は少しあとから知ったのだけれど、
珠理奈はたしかに批判されるようなことをしてしまった。
そうでなかったとしても批判につながる印象を与えるようなことをしてしまったのは事実だ。
でも、繰り返すけれど、フジテレビの放送しか見ていない私は「それ」らを知らなかった。


あんまりすぎるバッシングは、私がテレビ放送を見て抱いた印象とまったくかみ合わず、
一週間経って、自分の記憶を何度も何度も思い起こしみても、
「坂道に喧嘩を売ったカッコいい珠理奈」しか出てこなくて、
私は本当に「みなさん」と同じものを見ていたのかと疑問に思うほどである。






3位で宮脇咲良ちゃんが呼ばれたとき、
さくらちゃんは「さっしー、ごめんなさい」と、とにかくそう言っていた。
何も事情を知らない私は、そんなことより、投票をしてくれたひとへの感謝の気持ちが口には出したもののまるで見えてこなくてそれってどうなんだと顔をしかめてしまった。


でもさくらちゃんは、そうなってしまうくらいに追い詰められていたのだろう。


それはおかしい。
いつの間に、さくらちゃんはこちらが計り知れないものを背負わなければならない状態になっていたのだろうか。


っていうか『AKB48選抜総選挙』って、
アイドルがそんなになってしまうイベントだっけ?






珠理奈は祝福されなかった。


嫌われ続けてきた10年だった。
嫌われる理由は嫌われるような扱いを受けてきたからだった。
それでも彼女はいつも凛々しく堂々としていた。
でも、それが可愛げがないと、また嫌われた。


けれど、負の声こそ大きく聞こえるだけで、ファンだってすごくすごくたくさんいた。
だから今回1位になった。
10年かかって、お姉さんたちの背中を見てきた少女はようやくたどり着いた。


でも祝福されなかった。


そんなの、おかしいに決まってるじゃん。




私が「清々しい」と感じた珠理奈らしい(と思った)スピーチを、
「みなさん」はサイコパスだと言う。


10年目で、1位最有力候補と言われ、地元・名古屋開催で、
そしてなにより「推されてきた」彼女のプレッシャーは計り知れない。


けれど、威嚇とも思える行為をするなど明らかに様子がおかしかった彼女に、
やさしい言葉はいまはたぶん届いていない。
「リハーサル中に倒れた」というニュースはすっかり埋もれてしまった。




1位になったのに、祝福されないどころか、認めてももらえない。
嫌われ続けてきた彼女は、いったいどうやったら認めてもらえるのだろう。






AKB48選抜総選挙』はそういう催しになってしまっていたみたい。


CDシングルの選抜メンバーを決めるためだけのイベントだったはずなのに、
少女たちがこんなにもボロボロになってしまうようなイベントになってしまった。


もう限界でしょう。


これじゃあアイドルの「人間」の部分が壊れてしまう。
それでも「エンターテイメント」のひとことで大人は片付けてしまうのだろうか。

だからって、「アイドル」のなかの「人間」が、
「人間」としてすり減らしちゃいけないとろに痕をつけることを作品にすることは、
絶対に間違っている。


もはやこれまで48グループが売りにしてきた、
"「アイドル」のドキュメンタリー"云々の話ではない。




もう彼女は姿すら現わすことはないんじゃないかというくらいの凄まじいバッシングである。
それは本来「アイドル」に向けられるようなものではないと思うのだけれど。


10年という歳月をかけて「つくられた」彼女が、こんなことになってしまった。
本当に悲しい。
いまはただただ珠理奈が心配です。