ミーハーでごめんね

ヲタク気質のミーハーの忘備録。ネタバレ要注意。月別アーカイブを見られるようにしました。

焼肉ドラゴン

すごい映画だった。
すごくいい意味で、特定のキャラクター「だけ」が印象に残るということはなかった。
ただただ『焼肉ドラゴン』という映画そのものの存在感が残る。
登場人物たちはフラットにそこにいる。
某ハイローさんがつくった「全員主役」っていうことばはこういうことなんじゃないか。


映画のなかで描かれるいろいろな「人生」は私のそれとあまり変わらないように思えた。
(もちろんその「内容」はまったく違うのだけれど)
みんな、そうして生きているのではないか。


『焼肉ドラゴン』を観た私も、観ていない誰かも、
世界は、この世は「全員主役」なんだと改めて感じた。




キャストがめちゃくちゃよかったのは、そんな後味の大きな理由のひとつ。
誰ひとりとして、「自分」という役者の部分を出さず、
ただただ、作品のなかで生きていた。


井上真央がめちゃくちゃ演技がうまくてびっくりした。
あんな役もできるんだ!!??、って。
"『焼肉ドラゴン』の井上真央"を見ることができただけでもチケット代はおトクに感じる。
というか、井上真央が「あの演技」ができるということをここ数年、メディアなどによって忘れさせられていたような気がしなくもない。
大泉洋はどんな役柄でも絶対にいいんだろうなといつも期待をするけれど、
いつもそれを軽く超えてきて、さらに"見たことのない大泉洋"=キャラクターとして欠陥のない人物の姿を見せてくれるからすごい。
ずるいし、くやしい。


焼き肉屋『焼肉ドラゴン』を営む家族の父を演じたキム・サンホさん、
母を演じたイ・ジョンウンさんをはじめ、
明らかに見慣れない「韓国の俳優」による"「韓国の俳優」の演技"からは、
日本だけではない「日本ではない国」をダイレクトに感じることができてとてもよかった。
愛情の表現の仕方やそれらの醸し出し方は、日本人にはない、「韓国の俳優」ならではのものだと思った。




そしてやっぱりなんといっても監督をはじめとしたスタッフ陣がすごいんだろうな。
あまりエンターテイメント作品として触れられることのないストーリーの下地を、
これだけ個性の強いキャストをコントロールしながらつくったのは本当にすごい。


作品からも「悲劇」や「感動」を描くとぞ、いう意思はまるで見えてこなくて、
むしろ、ここで笑かすんだ!?、っていう攻めの姿勢もすごいなと思った。


もともと『焼肉ドラゴン』は舞台の作品で、それについて絶賛する声は聞こえてきていた。
本作・映画版の監督・脚本は舞台版でも作・演出をつとめた鄭義信氏。
私は舞台版を観ていないので比べることはできないけれど、
少なくとも本作を観て「舞台のほうが向いている」とは寸分も思わなかった。


私は私の見た映画『焼肉ドラゴン』がとても好きだ。