ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

パターソン

きっと、噛めば噛むほどもっと好きになれるんじゃないか。
そんな映画だった。



描かれているのは、主人公・パターソンの日々。
パターソンは「パターソン」という自分と同じ名前の町で暮らしている。
何気ない彼の日々は、きっと誰もが過ごしている日々でもある。


見慣れぬ外国の、見知らぬ外国人の日々は、
つくられたものとはいえ、スタイリッシュで目が楽しい。
ただ、ちょっと予告映像でネタバレしすぎのきらいがある。
作品を観るということを通して、自分自身で見つけたかったところがありました。むー。




\こういう映画が撮りたいんじゃ!/っていう意志はものすごく伝わってきたのだけれど、
いかんせんそれが私の好みではあんまりなくてですね。
あーキミ(映画)そういうタイプなん!?、ってわかってしまってからがどうしても退屈で。
正直、「ある事柄」が起きるまでは眠くて眠くて。


でも「ある事柄」のあと、わかる。
"いつもの日々"がこんなにも愛おしいものなのだと。
「ある事柄」っていうのは、ひとによっては「大事件」なわけで。
その事の重大さを自分に重ねた私は涙を流しました。


「ある事柄」が起きて、地味すぎるように映っていた日々がいかに大切なものだったのか、
いままで眠気に襲われるほどに「普通」だった日々はなんて美しいものだったのか。
それをこんなにも丁寧に繊細に描いていたのかと、そういう意味でもハッとされられました。
映画を巻き戻したい、もう一度ちゃんとしっかりとその景色を見たいと思いました。
そして、私自身の現実世界でも私にとっての「大事件」である「ある事柄」が起きたとき、
きっとまったく同じことを思うのだろうなぁ。
と、いうか、そういった経験はすでにある。ありますよそりゃ。
だからつらかった。つらかったよね、パターソン。




個人的に、パターソンが、劇中で書く・読む「詩」が「詩」だと感じられなくて。
私がたんに詩になじみがないからそう思うだけなのだろうけれど、
「詩」というより「散文」という印象なのです。
劇中で、永瀬正敏が「詩は翻訳できない」ってズバリ言っちゃってて、
それなーそれなんだよなー言っちゃったなーって(笑)
とにかく私は英語がわからないので、英語がわかるひとと比べると、
そういった点では、あまり映画が入ってこなかったのではという気がします。
言語の壁よ。残念。




パターソンを演じたアダム・ドライバーは、
『沈黙‐サイレンス‐』に出演していたのは覚えています!
すごく印象的なルックスだから!
と、同時に『ダンケルク』に出てませんでした?、とも思いました(笑)(出てない)
めっちゃ『ダンケルク』にも出てきそうな俳優さんなんですけれども。
パターソンは、ひとつひとつ、静かにだけれど丁寧に、
おおきな身体の背中を丸めて地に足をつけて生きるひと。
すごく素敵な男性です。


パターソンの妻・ローラを演じたゴルシフテ・ファラハニ、めちゃくちゃキュートでした。
ローラはちょっと風変わりなのだけれど、
同じマイペース人間のパターソンが「静」ならば、彼女は「動」という感じのキャラクター。
そのふたりの真逆っぷりがすごく相性がいいんですよね。
物語を華やかに、色鮮やかに、彩ってくれていました。


永瀬正敏は監督であるジム・ジャームッシュのお気に入り?
英語もヘンだし、「アーハン!」が、、、ヤバかった、、、、、なんだあれは。
ってかキャラクターの存在自体が、ちょっと同じ日本人だからこそ受け入れがたい感じ。
あの役目が、違う俳優さんだったら全然印象がかわったと思う。


ある意味、物語の最重要キーパーソン(キードッグ?)のフレンチブルドッグのマーヴィン。
昨年のカンヌ国際映画祭で、あのパルム・ドッグ賞を受賞。
映画『アーティスト』のワンちゃんも受賞していましたね!
全体を通しても、すっごくアクセントになっていました。かわいい。
ただ、演じたネリー(本名)はすでに亡くなっているのだとか。うう(涙)




パターソンの朝は抱き合って眠るローラにキスすることから始まる。
そんなふたりの定点観測は、幸せのかたまりのような時間を映しているようで最高でした。


私も自分自身の日々にしっかりと地に足をつけたい。
そうなれたらいいんだけどなぁ。