主人公は大学の広報マン。次々に巻き起こる不祥事に振り回され、その場しのぎで逃げ切ろうとして追い込まれていく。その姿をブラックな笑いとともに描きながら、現代社会が抱える矛盾と、そこに生きる人々の悲哀に迫る。
だめだめな松坂桃李かわいいなぁくらいの軽いノリでなんとなく視聴し始めたのですが、
結果的に報道番組なんかよりよっぽどジャーナリズムの役割を果たしていた強すぎるドラマでした。
「複雑なことの嫌いな彼は、世界に単純であってほしかった」と、
毎回、実は私だってそれがいいってどこかで思っているのを痛感させられます。
今現在の政治の様子を見せられているような前半3話もすごかったけれど、
後半2話の攻撃威力ったらハンパなかったです。
コロナと五輪と。
誰もが今日本が直面しているこの超大問題を重ね合わせたのではないのでしょうか。
國村隼演じる須田理事がラストシーンでアベノマスクをしていたのはトドメといった感じ。
脚本は渡辺あや。
公式サイトにあるように、「ブラック・コメディー」としての体裁は崩さず、
けれど回を追うごとに鋭くなっていく攻めの姿勢はお見事でした。
全体的に洒落ていて軽快な演出と胃が痛くなりそうなストーリーのコントラストが鮮やか。
この薄暗い空気のなかで、ガハハと笑わせてくれてありがとう。
まるで『いだてん』一話ぶんかよと思わせるキャストの面々も贅沢。
松坂桃李の演技の幅と、その力量を実感せざるを得ないここ最近です。
「これ」を報道でやらず、知る人ぞ知るドラマで発した公共放送・NHK。
そのこと自体が放つメッセージは痛烈。
【作】
渡辺あや ※オリジナル脚本
【音楽】
清水靖晃
【語り】
伊武雅刀
【出演】
松坂桃李 鈴木杏 渡辺いっけい 高橋和也 池田成志
温水洋一 斉木しげる 安藤玉恵 岩井勇気 坂東龍汰 吉川愛 若林拓也 坂西良太
/國村隼/ 古舘寛治 岩松了 松重豊 ほか<ゲスト出演>
国広富之 辰巳琢郎 嶋田久作 ほか
【制作統括】
勝田夏子 訓覇圭
【演出】
柴田岳志、堀切園健太郎