ミーハーでごめんね

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I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

忌野清志郎 トランジスタ・ラジオ

5月2日はかの忌野清志郎の命日。
なんと驚くなかれ、それは2009年のことだった。月日がめぐるのは早い、早すぎる。


その命日・5月2日から、NHK BSプレミアムで『忌野清志郎 プレミアムナイト』とし、
二日連続で放送された特別番組のうちのひとつであるオリジナルドラマ。

同作は、忌野清志郎が通った都立日野高校を舞台にした1960年代の若者たちによる青春群像劇。RCサクセションのボーカルである忌野清志郎が同じ高校の3年生だと知って憧れを募らせる1年生の坂口雅彦を主人公に、屋上で出会った隣の高校の女子生徒・永嶋美智代から「清志郎」と間違われた雅彦が、その日から「清志郎」を演じ続けることになる、という物語をRCサクセショントランジスタ・ラジオ”にのせて描く。


http://www.cinra.net/news/20150316-imawanokiyoshiro

見だしたら、止まらなくなってしまいました。
特別「清志郎」のファンというわけでもなかったのだけれど。


キッカケはドラマが始まったタイミングでツイートされた美術教師役を演じた田辺誠一のツイッターを見て。
それまでこのドラマの存在すら知らなかった。
と、同時にこのふとしたキッカケがなければ、「清志郎」の命日だなんて忘れたままだった。
田辺誠一は大好きなのだけれど、今回の話題性を意識したであろうキャスティングにはちょっと抵抗がある)


見終わったあとも、このドラマがフィクションだったのかノンフィクションだったのかわからない。
そのくらい、妙なリアリティがあったことは「清志郎」とともに(いわゆる)青春時代を過ごしたひとが多いということの説得力がある。
そしてフィクションだったのかノンフィクションだったのかは、もはやどうでもいい。良い意味で。
(結局はフィクションだったそうですが)




"「清志郎」の世界を描くドラマ"というコンセプトが、おもしろい。
ストーリーは「清志郎」というアイコンによって組み立てられていったものなのです。


青春ドラマとしてとってもよかった。
ポカリスエットのCMかと思うような青々しさ。
描かれていた世界は眩しいのなんのって。


清志郎」=ロック、なのだけれど、ドラマ自体はとてもしんとしていて、
それが「青春」ということばと風景を際立たせていたと思います。


主人公・雅彦の学生時代役には『黒猫チェルシー』の渡辺大知が大抜擢。
彼のことは全然知らなかったのだけれど(バンドの存在を知っていた、くらい)、
ヒロイン・美智代の誕生日にアコギをかき鳴らす姿は堂に入っていて感動的でした。
美智代の学生時代を演じた中条あやみちゃんの圧倒的ミューズ感が素晴らしかった!
校舎の屋上のバックに広がる青空とのコントラストがとにかく美しい!
これから注目していきたい女優さんだと思いました。
ふたりの初々しい演技にグッときてしまい、ドラマにグイグイ引き込まれてしまいました。


学生時代の「清志郎」は、終始背中姿。それが"雅彦の物語"を際立たせる。
と、ともに作品自体のどこか謎めいた雰囲気を手伝っていたように思います。


矢野顕子による繊細な音楽もよかった。




心がスッとする晴れやかで爽やかな気持ち。
美術室から香る油絵のにおい・青空を背景にした煙草のにおい。
それらはとても懐かしく、かつ照れくさくもあり、不思議な気分。
清志郎」が運んでくれた物語はこうして私のなかで残っていく。