ミーハーでごめんね

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I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

スーパープレミアム「獄門島」

横溝正史の最高傑作
数々のミステリーランキングで1位に輝く名作をドラマ化
長谷川博己演じる新しい金田一耕助が事件の謎に挑む!


戦争直後の瀬戸内の孤島を舞台にした、おどろおどろしい雰囲気、殺人の巧みなトリック。昭和22年の発表当初から高い評価を受けている「獄門島」は、古今東西のミステリー小説を対象にしたランキングで何回かベスト1に輝いたのをはじめ、常に上位にランクイン。これまでに映画化2度、テレビドラマ化4度と、今もその人気は衰えない。


この傑作ミステリーを、各種の映画機材等を用いることで、映画とみまごうクオリティーで映像化。また、孤島の地形(殺人トリックに不可欠)や島を覆う不気味な空気感の描写を、雄大な自然と歴史的建造物が多く残る佐渡で再現する。そして、金田一耕助。戦争でトラウマを抱え、心に空いた穴を埋めるため、取り憑かれたように事件を解明しようとする姿は、風変わりでとぼけてはいるがどこかヒーロー然としていた従来の金田一像とは一線を画す。


「うぐいすの身を逆さまに初音かな」閉鎖的な孤島で繰り広げられる連続殺人。何故か俳句に見立てられたそのコロシの謎に、金田一耕助が挑む!


https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/20000/252951.html




狂気と色気と。




"「NHKだから」、「BSプレミアムだから」できた「長谷川博己金田一耕助」"という、
表現の高みを目指した姿勢がとにかく好印象。
だからこそできるお金のかかった実験的な映像作品としては、じゅうぶん及第点の意欲作。


艶やかでコントラストの強い色彩、鋭いカメラーク、ロックミュージックがギンギン冴えた音楽らなどが、
その世界観を唯一無二の存在感に成した最高の出来。


また、その「色気」は同局が制作した、
『シリーズ・江戸川乱歩短編集 1925年の明智小五郎』に通じるものがあると思いました。




ハナシ自体はそんなにおもしろいと思わなかったのだけれど、
ちゃんと、「映像表現」としておもしろかった。


作中で連呼されていたずばり「キチガイ」な世界に浸かれる幸福感は、
触れたことのない表現の世界に触れることのできた喜び。
ふらふらゆらゆらとした感覚が強いものの、作品自体はとても芯と安定感があったと思う。


カット、というか画がいちいち美しいのも変態的なこだわりの強さがすご~~~くよく伝わってきて、
そのやりきっている感じは笑えるほど痛快でもあった。
フォントの使い方とか、すっごい絶妙なセンスをお持ちの方が担当したんだろうな~と。




長谷川博己金田一耕助役やったの初めてなの???まじで?????、っていうくらい、
長谷川博己金田一耕助」というキャラクターの完成度が凄まじかった。
長谷川博己金田一耕助」はさすがハセヒロ、舞台演劇出身のひとなだけあって(いまだに個人的にはソッチのイメージの方が強い)、
パンクでイキッたスーパークールな金田一耕助だった。
まず、ビジュアルからして完璧。
そして、退廃的で凄まじくエロかった。個人的には「ヒモい」とも思った(萌)


ハセヒロ以外のキャスト陣は派手さはないもののうまいひとばかり。
ハセヒロ含め、みなさん舞台演劇のような演技だった。
今作は「映画」をかなり意識したみたいだけれど、映画という映像媒体ではなく、
「テレビドラマ」というある種の劇場の広さは、そんな演技にすごくフィットしていた。
この抑えたキャスティングが「長谷川博己金田一耕助」をより引き立てた。
だからといって主人公以外が「引き立て役」というわけではなくて、
長谷川博己金田一耕助」を主役に据えるのにちょうどいい、という感じ。
とってもよかった。
最近見た映画版『ライチ☆光クラブ』に出演していた岡田天音くんも出ていました。
落ち着いた演技が意外で嬉しい発見。


演劇的といえば、帰還した兵士役の柳俊太郎に施されていた厚い化粧や、
頭の悪そうな三姉妹の着飾り方もそんな印象だった。




長谷川博己金田一耕助」と奥田瑛二和尚とのラストバトルは、
もうふたりとも明らかにマトモじゃなくて狂っていて、
こんなの地上波のゴールデンタイムじゃ規制くらうよっていうくらいヤバくて最高だった。
「迫力が~」とかそういうレベルじゃなかった。


長谷川博己金田一耕助」が叫ぶ。


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!無意味!ご苦労さまでした!ざまあみろだ!」


激しく発せられるそのことばはどこか滑稽で、
彼の目に映るものへの淡々とした"「ことば」という記号"として空気に溶けていった。