ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

HK 変態仮面

原作漫画は読んでいません。


いつ観るか?


今でしょ!


とーーーーーっても楽しかった!!!


とにかく脚本が素晴らしい。
単純な展開になりがちなヒーロー(変態だけど)ものながら、ぐっと深みが出ています。
役者の台詞の言い回し・タイミングなど完璧にディレクションされていて秀逸。
内容自体は馬鹿馬鹿しいながらも、完成度自体は低いとは感じなかったのはそのへんが徹底していたからでしょう。
ところどころで福田雄一監督の手腕が光ります。
オープニング映像にかなり力が入っていたのもポイント。
ここがしっかりしているとチープな箇所があってもそんなに気にならなかったりします。
エンドロールのグラフィックも最後まで観客を楽しませようという心意気が垣間見えて良かった。
すっかり人気者になったMAN WITH A MISSIONによる主題歌『Emotions』もピッタリ。
『るろうに剣心』のときもそうでしたが、少年漫画原作モノに若手ロックバンドの楽曲はとてもマッチしますね。


演劇を観ているかのような気分になりました。
作品をしっかりと楽しもうとしているひとが集まり、しっかりとそれを楽しんでいる感じ。
みんながみんなスクリーンに向けて笑い、映画館内が笑いに包まれる。
そんな空間にいることのできる体験が凄く楽しかったし、なんだか嬉しくなりました。


映画自体も、キャストの台詞の発し方もどちらかというと演劇風。
漫画でいうと劇画調の誇張された暑苦しい感じもあり、それがなかなかくせになる(笑)
全体がそれで統一されているのでザ・少年漫画な作品の世界にスッと入り込むことができました。


変態仮面のポージング、クネクネとした動き・キレのある動きは強烈かつ鮮烈(笑)
運動靴や上履きなど、学生感あふれる足元と網タイツとのコントラストが凄い(笑)
そんな変態仮面がとことん格好良く演出されております。
変態仮面の誕生までをあえて強引な展開にしたことで、逆に自然に感じられたところなどはお見事。
主人公・狂介が仮面を取ろうとしてナチュラルにパンツを手にし、被ったところでもうツカミはバッチリ(笑)
変態仮面と偽変態仮面の変態対決や、変態仮面の自身の変態度に対する苦悩なんかも、めちゃくちゃおもしろかった(笑)
「変態かどうかは強さとは関係ない!」「気付いてしまいましたか。」のやりとりは最高でした。
変態って深いっすね………!!!
地味にスパイダーマンを意識しているであろう感じもジワジワきました(笑)


序盤のストーリー展開は勢いがあってとっても良かったです。
が、ボスキャラ・大金玉男が出てきたあたりからちょっと不協和音が生じたように思います。
彼の物語への絡み方が中途半端だったように感じられました。
そのうえキャラ・ビジュアルともに弱かった。地味。
偽変態仮面との絡みのほうがインパクトもあったので、現れるタイミングが間違っちゃったかなぁと。


CGが安っぽすぎた点は残念。む〜ん、予算的にはこれが限界だったか。
送り込まれた刺客も「○○仮面」と名乗りながら、まさかの顔にペイントという学芸会レベルのメイクでびっくり。
せめて特殊メイクくらいにはしてほしかったな。


キャストは全員が全員、全力で真剣に馬鹿をやる演技は微笑ましいことこのうえなし。
狂介・変態仮面を演じた鈴木亮平は完璧な身体づくりでもって熱演。
あまりの肉体美に肢体を露わにするシーンは、別のひとが演じていたのでは?、と疑ってしまったほど。
演技も動きも完璧だったと思います!
存じない役者さんだったのですが、一気に気になる役者さんになりました。
ヒロイン・愛子を演じたのは清水富美加。変態じゃないヒーローもののヒロインからの今作。
ぱすぽ☆の奥仲麻琴ちゃんにそっくりで本人かと思ったほど。
オーバーに可憐で良かったです。アニメ声のような可愛い声も作品に合っていて納得のヒロインっぷり。
偽変態仮面を主人公に負けじと体当たりで演じた安田顕、めちゃくちゃ頑張っていましたよ!
あのリアルに年齢を重ねた身体(それでも鍛えられていて立派でございました)に
顔に被ったパンツのユルユル具合とか、その隙間からチラチラ見える表情とか、
本物の変態仮面より見てはいけないものを見てしまった感(笑)
安田さんは演技の振り幅が本当に凄い!貫禄の演技(と変態っぷり)で他を圧倒していました。
ムロツヨシ演じる大金玉男、ベッタリとした演技は気持ちが悪い!(褒めてる)
くちゃくちゃとチキンを食べる様子はとってもイヤ〜な感じで良い味を出していました。
片瀬那奈は本当に良いコメディエンヌになりましたね〜。


ラストはまさかの夢オチ!!??、と思わせるようなそうではないような曖昧な感じ。
ここまでの超漫画的展開とのギャップがあってナチュラルな感じが効いていました。
けれど最後まで笑いを盛り込んでいてさすがのひとことです。


"笑い"が必要な場所や、ひとに、是非、届いて欲しいなぁという作品。
馬鹿馬鹿しさやお下品でできたような作品なので、笑いのツボに入らないひとも、もちろんいると思うけれど、
「つまらない!」「ふざけるな!」などのマイナスの反応をも受けとめてくれる、度量のある作品だと思います。


そして。
この『変態仮面』を観たことによってさまざまな笑いが日常に派生しました(笑)
『変態仮面』はみんなを笑顔にする!


続編、やってほしいな。