ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

カラスの親指

悪くない。
惜しい。


センスが…センスが足りない!!!


まず最初に出てくる題字からダサくてな…。
もう少し全体的にセンスよくまとめられていたら上質な大人のエンターテイメントになっていたのではと思います。
カメラワークや編集も、とにもかくにもセンスが足りない。


意図的にほんわかした雰囲気をベースにしたかったのは伝わってきたのですが、やや中途半端。
緊張感のあるシーンとほんわかとしたシーンとの繋ぎにも、もう少し気をつかってほしかった。


ストーリーはおもしろかったです。
悪(詐欺)で悪(闇金)を制する。痛快。
これは裏があるな、と思いながら観ていたせいもあり、終盤は読めてしまうところもありましたが、ちゃんと楽しめました。
反面、画的にかなーり安っぽい仕上がりになっていたのがかなーり残念。
とにかくディティールが雑。本当に勿体ないです。


主要登場人物5人の日常生活に時間の経過を感じなかったのは
本当に一緒に過ごした時間が短かったのか、たんに描けていないのか。
他人同士が打ち解けるにはある程度の時間が必要だと思うんです。
5人が行動に至るまでの信頼関係を築いていく様子があまり伝わってこなかったので
ちょっと事がうまく運びすぎるな〜、と思いながら観ていました。
それが、裏があるはず、と感じた理由のひとつでもあります。
石原さとみが演じたやひろや小柳友が演じた貫太郎のような浮世離れしたキャラクターばかりの世界なら違和感もないのだけれど。
家族のような微笑ましい関係であったことは伝わったのですが、そういったところで生活感が感じられなかったのが不自然でした。


阿部寛は安定の演技力。
その存在感でこの映画を映画としてガッチリ支えていました。
主役がしっかり演技のできる役者さんだと、地味になりそうな作品もギリギリもちます。
村上ショージさん、すっごく素敵でびっくり!
この映画を知ったきっかけもショージさんが「阿部寛さんの相方役をやらせてもらったんですよ〜!」ってテレビで宣伝していてそれで。
人柄の良さがにじみでていました。本当に優しいひとなんだなぁ〜、としみじみ。
ショージさんを見ているだけで幸せな気分になりました。演技も良かったですよ。
しかも今回、あのショージさんが超重要な役ですからね!
能年玲奈ちゃんは撮り方や演出でもっと輝く子かなぁという印象。
本作では"女優"というより良くも悪くも"素人の女の子"感が強い。作品を選ぶタイプですね。
石原さとみは本当にいろいろな演技ができるようになりました!
強烈なキャラクターでしたが石原さとみ臭を完全に消していて見事に演じていました。
ただ本作では制作側のコントロールはうまくいっておらず、演技が浮いていてしまっていたのが残念。
謎のカツラ感や衣裳のスタイリングも不自然で…スタッフェ…。
小柳友は今回の役のために10キロ増量したそうです。
凄く良い塩梅で、クセの強い、繊細な役柄を演じきっていたように思います。
正直、ここまで演技ができるとは思っていなくてびっくりしました!
最近いろいろな作品で見かける役者さんですが、これからが楽しみですね。
鶴見辰吾が『黄金を抱いて翔べ』に続き、悪役で良い演技を見せてくれました。
短期間に2作品でそれぞれ違う性格の悪役を演じるところを観たので不思議な気分。
チョイ役で『さんま御殿』の再現VTRでお馴染みのぽっちゃり女優さんが出ていたのに高まりました…!(御殿ファンなので←)


センス!センス!センス!


ストーリーを生かすも殺すも、役者を生かすも殺すも、監督の腕次第だなぁ、とあらためて痛感させられました。
ストーリーも良いし、キャストも与えられた仕事をしっかりとやり遂げていたと思うので。
完全に好みの問題ですが、個人的にはスタイリッシュな方向が合っている脚本のような気がします。
別の制作陣でつくったものも観てみたいですね。