ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

スペシャルドラマ版の感想です。
小池真理子が書いた原作が好きなので楽しみにしていました。
なので、どうしても原作ありきの色眼鏡で見てしまいます。




まず。


キャストがみんな原作に食われすぎ!!!


"原作"っていうか"脚本"に?


主要人物である三人のうち、マトモに演技ができていたのは、
主人公・布美子を演じた石原さとみだけだったように思いました。
彼女の演技力の成長には目を見張ります。


一番違和感があったキャスティングは、雛子を演じた田中麗奈
雛子は、とらえどころのない、成熟した女性と純粋な少女をいったりきたりするような複雑な人物。
田中麗奈は、そんな『雛子』を演じるにはまだ演技が幼い。
個人的なイメージモデルは大原麗子さんだったりします。
とはいえ、他のキャストの演技もどっこいどっこいだったんですけどね。




かなり原作を端折っていたので(布美子の恋人がいない設定になっていたり)、
スピード感はあったものの、深みが足りない。
原作を読んでいたら、「このシーンはこういう風になるのか〜」などと楽しめるのですが、
そうでないひとは、コントのような展開の速さにびっくりするのでは。


とくに違いが感じられたのが、
原作で描かれていた布美子と片瀬夫妻の"3人の物語"というよりは、
それに大久保(斎藤工)が加わった"4人の物語"になっていたこと。
"3人の物語"が、うっすい!
原作の、濃密で官能的で、アンニュイなのに多幸感に溢れる、美しく流れるような"3人の物語"がさっぱり描けていないのです。
だからどうしてもそれが大久保の存在に(ストーリーのアウトラインも含め)おびやかされてしまう。
それが"原作との差別化"とはとても思えず。
必要以上のリアリティが感じられてしまって、その生々しさがあまり好みではありませんでした。


劇中に登場する、信太郎(井浦新)が翻訳をする『ローズサロン』という書籍や、
同時期にあった浅間山荘事件との親和性も、もっと欲しかった。


ラストシーンは原作とガラリと変えてきましたね。
個人的には、やっぱりどうしても原作のラストに肩入れしてしまいます。




セットや背景がとても舞台となる70年代のものには見えなくて、拍子抜け。
全体的に安っぽくてがっかりしてしまいました。
もう少し、力と時間とお金をかけて、せめて映画にしてほしかったな〜。