2020年、ジャニーズのアイドルが、
こんなミュージックビデオをリリースするだなんて思いもしなかった。
聞けばラウールがリップスティックのモデルに起用されたことで話題になったクリスチャン・ディオールとのコラボレーション曲なのだそう。
ジャニーズのミュージックビデオでよく目にする、ある過剰さとは真逆の、
クールでファッショナブルなビデオにぶったまげたのだけれどそれも納得である。
『KISSIN’ MY LIPS』(キッシン)のミュージックビデオは、
シンプルだけれど構成がソリッドで、はちゃめちゃにおしゃれ。
かつ、これだけ削いでもなおゴージャス。
ここまで振り切れたのはメンバーそれぞれの強い個性があるからなんだろうな~。
該当するリップのアイコンであるラッキースターをキーポイントにした椅子や、
リップの質感・色味をイメージしたカットも印象的。
カラースーツのスタイリングや目元にあしらわれた蝶など、それらはさながらディオールのリーフレットの世界。
また、CDジャケットでも明らかに同じディレクションが行われている。
この一連の企画を担っているのは『ELLE』誌なのかな?
だとしたら、それもまたあらゆる意味で凄いことだと思う。
こういったコラボレーション企画によってモデルの所属するアイドルグループのCDジャケットやミュージックビデオがブラッシュアップされたのではないか、ということだから。
ディオールの新作リップの「スター」というコンセプトのモデルに抜擢されたラウール。
『ELLE ONLINE』内のコンテンツページ【星が導くラウール×リップの関係】ではスペシャルムービーが公開されており、すでに『KISSIN’ MY LIPS』の楽曲の一部を聴くことができた。
スペシャルムービーのクレジットにはしっかりと『ELLE』と記されている。
ハイブランドコスメ×ジャニーズといえば、
トラジャこと『Travis Japan』がESTEE LAUDERやGIVENCHYとYouTubeでコラボ(?)したりしているのですが、
このへんの流れとも関係あったりしますんでしょうか…?
揃いのスーツ姿でこれだけシックなパフォーマンスで魅せることができるのは、
今現在のジャニーズでは『Snow Man』しかいないのではないだろうか。
そう思わされたのは『Crazy F-R-E-S-H Beat』のダンスビデオが公開されたときだった。
振り付けはメンバーのひーくんが務めているというんだからもうびっくり。
ディティールが作りこまれていていちいち楽しくてめちゃくちゃ洒落ているのが本当に最高。
こんなミニマルでマニアックなダンスを群舞として昇華するスノーマンのポテンシャルがすごい。
またこれは楽曲にもいえることで、こういった無機質な音で構成されている楽曲がデビュー曲のカップリング曲に選ばれたというのもすごい。
いったいこの楽曲の背景にはなにがあったんですか。
と、『Crazy F-R-E-S-H Beat』のダンスビデオがなかったらたぶん『KISSIN’ MY LIPS』の振付やビデオにはたどり着いていないのではと思ったり。
あのダンスビデオでスノーマンは「揃いのスーツ姿でこれだけシックなパフォーマンスで魅せることができる」というのをこちらに印象付けたと思うから。
キッシンのビデオのベースになるのは9人と9つの椅子がずらりと並ぶ大胆すぎる引き画のダンスショットだと思うのでよりそれだ、と納得してしまう。
(もちろん個人の感想です)
私は『ZIG ZAG LOVE』ですっかり時が止まっている人間だし、
少クラを視聴しなくなってから能動的にSnow Manのステージを見たことはない。
そんな私でもわかるのは、9人体制になってからのスノーマンは「揃える」のをとても大切にしているなということ。
これは『Crazy F-R-E-S-H Beat』のダンスビデオを見る前に、何かのパフォーマンスを見てからそう思っていた。
だから『Crazy F-R-E-S-H Beat』のビデオが公開されたときはめちゃくちゃ嬉しかったし、
どこかでなにかが合点がいったのをよく覚えている。
『KISSIN’ MY LIPS』はMVティーザーも凄くて、
あのクセのつよいスノーマンのロゴでさえも利用してしまう。
あのディオールのイメージとは真逆のゴリゴリのグループロゴがこういった演出につかわれるとは。
また終始今回のこういったディレクションにしっくりハマってしまえるのもスノーマンの強さだと思う。
さらにジャニーズの新時代を感じたのが、
ミュージックステーションでのパフォーマンス初披露の流れでYouTubeチャンネルにてミュージックビデオが公開されたこと。
ジャニーズさんかなりインターネットの戦い方を身につけてない?ラポネ聞いてる?
いま、エンターテイメントの世界が変わらなくてはならない事態になっているけれど、
ジャニーズが今回の一件以外にも目に見えてオンライン攻勢に活路を見出していっている。
また、こういった新世界のような作品を見せつけられると、
ますます変化するものがあるのではないかとの期待をしてしまいます。
たのむぞ、そこのお方たち。