みんな大好き・SMエンターテイメントのミン・ヒジン先生。
SMエンターテイメントのイメージビジュアルディレクションを指揮し、多くのファンから支持を得ています。
なかでもガールズグループ・f(x)における仕事では、
毎回、全女子がもだえるであろうツボを刺激してくれます。
しかし、誰もが憧れるそのガーリーアイコンは、
"既存のガールズカルチャーからの「引用」"がベースにある、ということは、こちらでも少し触れています。
SMエンターテイメントの「作品」を眺めていて、こういう経験はないでしょうか?
「あれ、この曲ってこういう感じなの…?」
先に出されたティーザーイメージ群と、ミュージックビデオ・ステージでのビジュアルの差に「疑問符」を持つということ。
これは単純にティーザーイメージは「アルバム」の、MVは「タイトル曲」のものだから。
ココの誤解を解きたいのなら、タイトル曲そのものをアルバムのイメージにしっかり刷り込む作業が必要。
そういった点で、
もしかして、ミン・ヒジン作品は、当てずっぽうなのではないか。
もちろん、いままで彼女が手掛けた作品群は素晴らしく、
「アイドル」をアーティスティックな世界観に落とし込んだ作品たちには、感嘆するほかありません。
私自身も大好きだし、「日本のアイドルではどうしてこういったことができないのだろう?」なんて思うこと多々でした。
だけれど、それがだんだん鼻についてきてしまった。
「当てずっぽう」ということばを用いたのは、
ミン・ヒジン作品と非ミン・ヒジン作品(MV・ステージ等々)でのビジュアルに、
繋がりが見られる事例もたくさんあるからです。
けれど、それらは双方をガッチリと繋いでしまう、"音楽の力"によるところが大きく、
名ばかりではない、"さすがの「SMミュージック・パフォーマンス」!"といううやむやなところに落ち着きます。
疑問符が、私の中で最高潮に際立ったのが2013年、f(x)の『初めての親知らず(Rum Pum Pum Pum)』活動のときです。
ミュージックビデオはアンニュイエレクトロ曲に寄せて、
カラフル・ポップ・キッチュなf(x)ワールドが展開。
ところがこの『親知らず』活動時は、
ミン・ヒジン先生による「アートフィルム」という映像作品が、
活動曲のMVとは別に発表されています。
それはまさに『初めての親知らず』が収録されている、
正規2集アルバム『Pink Tape』の世界観なのです。
もちろん、先に公開されているヒジン先生によるティーザーイメージ群にも反映。
活動序盤はMVでのイメージビジュアルを保っているのだけれど、
次第に、ティーザー類・アートフィルムのイメージビジュアルに照準を合わせていくことに。
そう、レトロな制服衣装です。
この制服衣装はベトナムの女子学生の姿からインスパイアされたとのこと。
結果、
ティーザー類・「アートフィルム」のイメージビジュアルと、
アンニュイエレクトロ曲とのマッチングが大変ネム~~~イ感じになってしまったのです。
このちぐはぐな感じ。
それは、二方向からの表現がマッチしなかったからなのではと思います。
一方は、「楽曲」の視覚イメージ化であり、
もう一方のミン・ヒジン作品は「タレント」という「人間」を視覚イメージ化している。
それらが見るも無残にとっちらかっている。
そりゃネムくもなりますわ。
ところが、2014年に発表されたf(x)『Red Light』のミュージックビデオ。
…!?
(私が眺めていた最中で)初めて、ミン・ヒジン先生のティーザーイメージ等々のビジュアルディレクションが、
MVやステージでのイメージビジュアルとリンクするという事象が起きます。
ティーザーイメージ公開時に懸念していた点を見事に裏切ってくれました。
正規3集アルバム『Red Light』クレジットにはしっかりと、
MUSIC VIDEO DIRECTION
HEE-JIN MIN
との表記が。
先に挙げた正規2集アルバム『Pink Tape』のクレジットには、
ヒジン先生が『初めての親知らず』のMV制作に関わったという旨の表記はありません。
(以前にはヒジン先生の自信作・SHINeeのミニアルバム2集『Romeo』のティーザー×
タイトル曲『Juliette』のMVのディレクションの実績があったりするけれど)
ティーザーイメージ公開時に衝撃の走った、
まさかの体操着+眼帯の萌えッタルがステージに!(白ニーハイ♡)
これを受けて思ったのは、
"SMエンターテイメントにおけるミン・ヒジンの立場に変化があったのではないのか"、ということです。
または、ヒジン先生自体に変化があったのか。
その「変化」は、(SMエンタ側的にも)ミン・ヒジン先生お気に入りのf(x)を用いたチャレンジだったからこそなし得たのかもしれません。
『Red Light』以前のミン・ヒジン作品とMV・ステージ・ビジュアルチームの作品とのバランスの良し悪しは、
ちょっとした博打みたいなものだったのかも。…スリリング!
『Red Light』以降はわかりやすいほどに、"ミン・ヒジン・エッセンス"をそこかしこから感じられるようになった気がします。
とはいえ、アートディレクターの「作家性」という点では出尽くしてる感が否めない。
その結果、似たような作品が増えていくだけならば、なんらかのかたちでカンフル剤が必要なのかもしれません。
日本の『SMAP』みたいにADの作家性も含めたビジュアルアイコンとして昇華させるのならハナシはわかるのだけれど。
いろんなアーティストにADの「趣味」が散らばってるように見えてきてしまうんですよね~。
話を戻して。
拝啓、ミン・ヒジン作品を活動展開にも取り入れることに成功したSMエンターテイメント様。
トップをひた走り続ける御社が今年はどんなビジュアルで楽しませてくれるのか、楽しみにしていきたいと思います。