ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

新聞記者




映画『新聞記者』、観ました。



映画が始まってすぐは前情報の影響かすでに悲しくてしょうがなかったのに、
途中から目というか心が据わっていくという。
終盤らへんはすごく妙に静かな気持ちで観ていましたね…
「諦め」とはまたぜんぜん違って、良く言えばとても落ち着いていたというか。




先に映画『主戦場』を観ているのがでかい。



序盤は『新聞記者』のフィクションのほうが、
自称ドキュメンタリー作品の『主戦場』よりしんどさがあって、個人的には意外でした。
でもそれも完全フィクションだからこそ、つくり手がつくる最大限まで作品の強度を上げることができる、創作の力なんですよね。


ところが、なんというか途中から土曜日21時のテレ朝2時間ドラマみを感じてしまって。
たぶん観ていくうちに『新聞記者』という映画作品そのものに自分が慣れてしまって、
実例を取り入れているのにも関わらず現実とは違う世界の「ドラマ」として没頭した感じ。
そう思うと前半のゆらゆらした撮り方も気になったし、
全体的にあまり映画として「うまい」というわけではない。(個人の感想です!)
聞けば監督は『デイアンドナイト』の方だそうで。




でもいま観るべき映画だと思うので『新聞記者』、たくさんのひとに観て欲しい。
この作品をして「宣伝がほとんどされてない」というのが、いまの日本なのだろうか。


『主戦場』がなんとなくそういった意味で手放しに勧めづらいのは、
『主戦場』はドキュメンタリーと謳いながらも、実在の人物が「悪役」として登場している、
「強い個人の主張」だからなんですよね。
『新聞記者』はつくられたストーリーになぞったフィクションだからこそ、
制作者や出演者らに対して余計な感情が及ばず、ただただ作品として見ることができる。
この差はかなり大きい。




『主戦場』を観て『新聞記者』を観て、
それらのかけらが確固たるものとして自分のなかにすでに在るいま、
やるべきことはただひとつ、選挙に行くことです。
いまの自分のなかに在るものを放っておかないために。それはいわば自分のためです。


『新聞記者』の公開時期は狙ったとのことだけれど、尻を叩かれたようでありがたい。
こうしてちゃんと"「自分のために」選挙に行こう"っていう気になるのだから。


むしろいま、こういった風になかなか自分がならなかったのが不思議なくらいだし、
なんならこういった映画なり作品があまり存在しなかったことも不思議なくらいだけれど、
やっぱり「宣伝がほとんどない」というのが答えとしていちばん腑に落ちるし、
その理由は『主戦場』で思い知った感があるので、
私のなかでは『新聞記者』と『主戦場』は作品として、
公開されたタイミングや私が観たタイミングも含めてニコイチといいますか、
このふたつの作品は私のなかで切り離せないものになりそうです。




どうして「宣伝がほとんどない」と思ったのか。
それはキャストの顔ぶれ、主に松坂桃李という有名俳優がダブル主演を務めているからです。
公開規模的にも邦画においてこの宣伝のなさは不気味ですらある。
実際に私もこの映画の存在を知ったのは、
公開日にツイッターでフォローしている方が観に行ったとのツイートを見たからです。
それだけで、"「松坂桃李」がダブル主演を務めた"ということのすごさというか、
有名俳優のキャスティングが宣伝にも絶大な力を持つことがよくわかった一件でありました。


本作ではダブル主演のもうひとりを韓国人女優のシム・ウンギョンさんが演じています。
私はこの方のことはぜんぜん存じ上げておらず、本作で名前もお顔も知ることとなりました。
日本の有名女優にもオファーをしたのだけれど、叶わなかったとのウワサも。
まぁじゅうじゅう察せられるところではある。
そんななか私が心の中でチックタック先輩と慕っている松坂桃李がこの役を受けたのは、
それだけでいや~~すごい~~~~ってなっちゃいます。


松坂桃李って、個人的に演技がうまいとかそうでないとかの印象があまりない。
でもよくよく考えてみると、イケメンなのに「普通の人間」をスッと演じることのできる、
貴重な俳優さんなのだなと初めて知った気がします。
ときに「演技がうまい」という印象すらも、「普通」を演じるには足かせになるのだなぁと。
本作での演技もとってもよかったです。
「普通の人間」の苦悩を、自然に~というのも野暮なほど自然に演じていました。


なんか観る邦画という邦画に田中哲司さんがかなりの高確率で出演している気がする(笑)
高橋和也や岡山天音もなかなかだけど田中哲司さんの比ではない…!
いつも幅広い役柄を巧みに演じておられるので、もはや悪役でもまずそのスキルに感嘆する。
そして北村有起哉さんがカッコよすぎました。




本作は、松坂桃李が演じた政治家や、
もうひとりの主人公であるシム・ウンギョンさんが演じた新聞記者も含め、
「普通の人間」が普通に働くことや生活すること、
そのなかで悩み苦しむことがごく自然に描かれていたという点がもとてもよかったです。
それ知ってる…!と、思う部分がたくさんありました。(作中の事象のことではなく)
と、映画のメインテーマ以外のところでも感じ入るところがあり、
作品がより響いたような気がします。