ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

さよなら原美術館

どうやら私はこの先、原美術館に行くことのないまま原美術館とお別れするっぽい。


勘違いをして2019年いっぱいで原美術館が閉館すると思い込んでいた私だけれど、
それは勘違いで、ならまだ時間はまだまだあるなとたかをくくっていた昨年末。


年が明けて、森村さんの展示行きたいなーと思ったときにはすでにコロナ禍真っただ中。
緊急事態宣言が明け、各美術館が入場制限をして展覧会を再開していたのは知っていた。
実際、友人が他の美術館を利用したという話も聞いていた。




こういうときに限ってそれぞれの美術館では私が惹かれる展示ばかりを開催しているが、
原美術館には展示の内容を問わず、行かなければならない理由があった。
2021年1月11日にて閉館してしまうからである。


原美術館はご存知、品川にある。


うーん、品川。と思わせる位置にある品川。
しかし12月に入り、期限が迫っていることを実感し、ここで行かなきゃいつ行くんだと思い休館日を検索してみたらあらびっくり。
美術館は入場制限に伴い事前予約制になっており、予約は閉館日まですでに埋まっていた。
挙句の果てに昨日が最後の予約日だったという間の悪さ。


うーん、品川。とあんなにうんうん考えていたのに、
美術館が入場制限になったことについてはすっかり忘れていた。
大きくない美術館というイメージがあったからというのもあるけれど、大きくないのなら余計に入場制限はするだろうよ自分よ。




当ブログに残された唯一の原美術館の記録は以下のみである。


カードリンククリック不要の本文の短さ。
でも、それでも展示の内容は覚えてるもんな~。


と、いうかもともと"美術館やギャラリーにめっちゃ行くので記録を残したい"と始めた当ブログなので、
原美術館の記事が1つしかないのにびっくりするし、
なによりいまでも鮮明な体験として残っている原美術館の思い出の数々がすべて大昔の出来事だとは時の流れってのは恐ろしすぎる。
本当にあった怖い話すぎるでしょ。




原美術館には思い出がたくさんある。


初めて原美術館に行ったのは2004年。
奈良美智の『From the Depth of My Drawer』展だった。
当時、美術館は私みたいな子どもが行っていい場所ではないところだと思っていた。
学校帰りに友だちに「おもしろいところだから一緒に行かない?」と誘われた。
カフェ・ダールはgraf草間彌生とのコラボレーション家具が設置されている期間で、
私たちは草間彌生の水玉ファブリックの椅子に座った。


コーヒーなんて飲んだことなかったけれど、そのときにたぶん初めてコーヒーを飲んだ。
いまコーヒーをがぶがぶ飲んでいるのが信じられない。


奈良さんの作品で、涙を流していたでっかくてつるつるした子が印象的だった。
部屋のなかにすっぽりと設置されており、大切につくられたであろう立体作品の凄さというものを痛感した。
いま常設展示されているものもおそらくこの展示と同時に制作されたものと記憶している。


こんなにおもしろい美術館があるなんてまったく知らなかった。
当時、原美術館の公式サイトは私のなかで世界で一番かっこいいウェブサイトだった。
本当に、ずっとずっと大好きな美術館だった。




展示を遡ろう。


いま現在、原美術館HPのアーカイブはほぼ機能していないので、
こちらのサイトから引用する。









ざっとこのへん…?


上記サイトのアーカイブは私が初めて行った奈良美智展が一番古い記録となっていた。
ぱっと作家名や展覧会名などを見て、確実にこれ行った!というのがこのへんだけれど、正確には他にも行っていると思う。
一覧には見覚えのある作品のサムネイルがいくつもあるし、
当時私が目にする限られた美術館のチラシのなかでも見覚えがあったものばかりだし。
パーティーにだけ出席した展示もあるけれど、なんの展示だったかは覚えていない。


展示作品の撮影禁止が当たり前の時代だったけれど、
唯一撮っていたであろう表看板の写真のデータを探すのは難しい。
それでも"表看板を撮る"という行為そのものを当時はまったく意識していなかった、そういう時代。




気づけば、美術館の帰りには必ずといっていいほど駅前のつばめグリルで食事をしていた。
美術館と縁遠くなってもつばめグリルを利用することは多かった一方で、一時期は完全に舌が飽きていた。
けれどつばめグリルというブランドは私のなかで揺らぐことはなく、
なんだかんだ別の街でもつばめグリルを選んでしまうのだった。


カフェ・ダールは美味しくて綺麗で大好きなカフェだったけれど、
そこでいま現在のようにひとりで贅沢に時間を過ごしていたかというと、きっとそんなことはない。
原美術館はずっと「誰か」との思い出の場所だった。



アンジュルムック

アンジュルムック

そのずっとあとに、そんな思い出の地で和田彩花さんがお写真を撮っているだなんてね。