ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

七つの会議

「原作:池井戸潤」て、いつもなら回れ右しちゃうやつです。
でも最初に断っておくと、ちゃんとおもしろかった。


映画『七つの会議』はめちゃくちゃ『アウトレイジ』だった。
なんつーか役者がどれだけ楽しみながらマジのガチで演じるかっていうところが。
でも本作は、各々それなりに演じてるんだけれど足並みが揃っていないように感じられて、
全体的になんか噛み合ってないなーと思ってしまいました。勿体無い。
観始めたらアウトレイジだしキャラ萌えするやつだって思って観ていたものの、
そっちの方角にはいかずそののち私、迷子。


徹底的に「内部」の様子しか描かないのはそれはそれでよかったけれど、
それと引き換えにキャラクターの「人間味」があまり伝わってこなくて。
作品におけるキャラクターを駒にしたかのようなつくりはぜんぜんアリだと思うけれど、
今回はそれがあまりうまく作用していないと感じました。




予告映像で見たザ・変わり者なエキセントリック野村萬斎様が目当てだったのだけど、
それを差し置いて藤森慎吾♡♡♡♡♡がかわいすぎましたね!
藤森慎吾をキャスティングしたひとを表彰したい♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
ああいうきゃんきゃんいう小者大好きだよ、めっちゃかわいい!ぴったり!
ミッチー王子はせっかくビジュアルはよかったのに、
「やさしいひと」で終わってしまったキャラクターだったのが惜しすぎる。


とにかくキャストの演技がバラバラというか。
萬斎さんの演技ですらサムく感じたのは、たぶんそれぞれが"この作品のための演技"をしているわけではないからなのではないかと。
みんなそれぞれに自分のもっているスキルで自分の演技をしてるなぁと。
香川照之とかうまいんだけど、またその演技かぁそれ見たことあるんだよっていう。
もっと映画に捧げてほしかった。そういうのが見たかった。
萬斎さん演じる主人公・八角は、終わってみればただのナルシストだったのではと思えちゃったのが残念でした。




おもしろかったしエンタメだし正義だし。
そういうのは好きだけど拭えない説教感があったのは否めなくて。
とくに「正義」の部分に囚われているのか終始堅苦しいというか。
「説明」の部分がすごく説明くさいし、わかりやすいのは結構なのだけれど、
それなら文章でよくない?っていう。


あと映像のスケール感がごちゃごちゃというか。気持ちよくない。
見ているこっちがドキドキしたりとかぜんぜんしない。
ここまで「正義」を説教くさく描いておいて、
エンドロールは個人的にクレジットに集中したいのだけれど、
それでもまだ言い足りないないことがあるくらいの作品だったのに、
結局私は傍観者以上にはなれなかった。他人事どまり。


これはけっこうきついなと思った。


こんだけ「表現」より「演説」をやって(私が)他人事とか。
伝えたいことがあるはずの作品なのはわかるし、伝えたいこともわかるんだけど、
肝心なところがまったく伝わってきていない気がする。
上っ面で「そだねー」で片付けてしまう自分がいる。
キャストもそうだけど、つくったひと・関わったひとみんなでひとつの作品をつくろう!っていう円陣とか組めてないんじゃない?




『七つの会議』っていうくらいだから、それぞれの会議が始まるタイミングでナンバリングのカットがあってもよかったのでは。
それこそ『女王陛下のお気に入り』みたいに。


たぶんこれ史実だったらヤベーみたいになるやつだったんだよ。
でも配慮というか弱気というか多方面に気を遣っているのか、「安全」に仕上げたなぁと。
でもフィクションでそれじゃ届かないよ。
整備されていて、綺麗すぎてリアルじゃないもん。


いろんな"日本人が働くこと"についての問題にスポットを当てるものの、
ストーリーの流れの関係で結局すぐにこちらも視線を変えざるを得なくて、
作品は待っているラストに向かって寄り道せずに突き進んでいくんだよな。
働いているたくさんのひとりひとりの人生はさておき、正義のラストに一直線。
パワハラと闘いながらめちゃくちゃ一生懸命働いてるひとたちはどこいったん。
けっきょく製作陣もスポンサーとかの顔色うかがってんのかなって。


もっと爪を立てて、爪痕を残してくれてもよかったんだけどな。
でも、想像以上に、ちゃんとおもしろかったのは本当によかったです(説得力…)