ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

NHKスペシャル「“樹木希林”を生きる」

樹木希林という女優さんのことは、当たり前のように知っている。
たぶん、当たり前のようにたくさんの作品に出演していて、
私は知らないうちに、当たり前のようにそれらに接していたのだろうから。
「ああ、そういえば出てたね」くらいの作品も、めちゃくちゃたくさんあると思う。
そのくらい「樹木希林にしか務められない役」が多すぎる。


いろいろな媒体で目にしたここ最近のインタビューなどからは、
流れに身をまかせて自然に生きるひとなんだなぁという印象をぼんやりと持った。
けれど、それはちょっと勘違いだったみたい。




樹木希林は「ものづくり」のひとだったんだなぁ。




場面は映画『万引き家族』の打ち合わせ。



樹木希林が演じる、おばあちゃんの独特のいやらしさが生まれたのは、
希林さん自身が「わからない」と言いだしたのがきっかけだったとはおどろいた。
あのおばあちゃんのじっとりねっとりしたいやらしさがなかったら、
おばあちゃんは、たんなる"かわいそうなおばあちゃん"だったかもしれない。


私だってわからない・理解できない部分がたくさんあった映画だったけれど、
希林さんが「わからない」と指摘した部分が補填されたことは、
間違いなく私が『万引き家族』という作品を受け入れられた理由のひとつだと思う。


ああいった、与えられた役を演じるにあたって自身の気持ちを主張したのは、
約10年ものあいだともに作品をつくってきた是枝裕和監督との作品だったからなのかなぁ?




昨晩の『クローズアップ現代+』でも、本作のドキュメンタリーでも、
希林さんは、たくさん、いろいろなひとの肩をたたいて、背中を押していた。
いまはそれらも希林さんの「ものづくり」のように感じる。


この番組ですら、どうにかおもしろくなるようにと考えては苛立ったり、提案をしてみたり。
まさに樹木希林が残した「ものづくり」の様子だったのではないだろうか。