K-POPアイドルグループ『SHINee』のテミンが日本でソロデビューする。
テミンはこれまでも「日本でいちばん人気があるメンバー」として、
日本活動ではグループの立ち位置をセンターに据えられるほどの推されようであった。
日本デビュー曲『さよならひとり』のミュージックビデオは、
ダンサーとしても高い評価を得るテミンのパフォーマンスをしっかりと映し出したもの。
日本の誇るトップクリエイターのひとり、ダンサー・菅原小春による振り付けが話題に。
楽曲も、振り付けも、ファンの評判は上々のような気がします。
これまでの本体『SHINee』の日本活動における作品からは考えられない豪華な出来。
(直近では『君のせいで』のMVとか「SHINyan」とかまじでひどかったからさ…)
けれど、「世界観」・「ビジュアル」についてはやや戸惑いの反応が見られます。
なかでも多かったのが、
クールジャパン
がうんたらかんたら。
まじで?
それはまったく個人的には思わなかった。
でもこのことばを見かけてはなるほどといろいろと腑に落ちた。
今回のMVが比較されることが多いのは、
本場のK-POP市場で公開された『Drip Drop』のミュージックビデオ。
今年のはじめに本国・韓国でのソロカムバック時にリード曲として公開されたこちら。
私は常々、"『K-POP』はやりすぎ気質"だと思ってきました。
で、その「やりすぎ」が(私は)好き。
なのです。
今回の日本デビューのディレクション(「J-クオリティ」)にネガティブな反応があるのは、
やりすぎK-POP激流のやりすぎクオリティ(「K-クオリティ」)が沁みついているがゆえでしょう。
だけど、今回の反応はいかんせんその「K-クオリティ」にひっぱられすぎだと感じています。
韓国の大きな芸能事務所のおエライさんは、よく「K-POPで世界征服」的なことを言います。
あれって誇張じゃなくて、(国民性を抜きにしても)"世界に照準を合わせたクオリティの高いものをつくっている"という自負があるからなのだと思います。
韓国の人口は日本の約半分。
そんな少数人口の国が、国をあげて『K-POP』というブランドを世界に向けて発信している。
そりゃクオリティも高くなりますわ。
そんなハイクオリティを伴ったコンテンツであるK-POPアイドルが、インターネット等で気軽に楽しめるだけではなく、
自分(私)の国(=日本)にまで来てくれて、イベントを催したり日本語歌詞の楽曲をリリースしてくれたりするんだから嬉しいですよ~。
ただ、"輸入されたK-POPアイドル"はクオリティ関係なく「売れる」のだから、
単純に儲けようとするならば多少質が落ちるのは仕方がない。
日本活動だけで新規ファンを獲得しようという動きは、いまの日韓の情勢を考えると難しいだろうし。
Kドル側も儲けるために日本活動をするのだから、コストはあまりかけたくないよな~と。
そういったなかでの今回の「J-クオリティ」。
私もいろいろなものを覗き見ては「K-クオリティ」をマンセーしてきたわけですが、
だんだんと、「アイドル」というジャンルであれだけのクオリティ表現をする韓国が異質なのだと感じるようになってきたのです。
なんというか、K-POPフォロワーが「J-クオリティ」に悲観的すぎるのがさみしい。
今作のテムソロMVは、これまでの「J-クオリティ」を考えたら、かなり頑張っている。
まして海外のアイドルグループメンバーのオリジナルソロMV。
それにかける労力を考えたら、及第点なのではと。
後付けかもしれないけれど、こちらの記事には、
テミンの唯一無二の存在感を表現する為、地球のどこでもない場所・時間を設定。その為全編100カットを超えるフルCGで制作された。
と、MVのビジュアル制作の意図が記されています。
それを「クールジャパン」と片づけてしまう視点が、もったいないなぁと。
「K-クオリティ」が好きなのはわかる。私も大好き。
だけど、自国のクリエイティブにももっとポジティブな解釈をしてもいいのではないかと。
個人的に今回は、「J-クオリティ」なりの表現を、しっかりとコンセプトを立ててつくりあげた点を評価したいです。
とか言いつつ、好きか嫌いかでいったらハナシはまた別なんですけどね。