ミーハーでごめんね

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I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

山口小夜子 未来を着る人 / 他人の時間|TIME OF OTHERS

今回の主役はかの有名トップ・モデル・山口小夜子のはずだったんです。
は・ず・だったんです。






以下、ネタバレします。(はやっ)






トニー・レオンのせいで小夜子がふっとんだ。


『山口小夜子展』と同時開催されていた『他人の時間展』。
その最後の作品がホー・ツーニェンというシンガポール人作家による『名のない人』という約18分の映像作品でした。


その内容が!!!!!


トニー・レオン作品のコラージュ!!!!!


さまざまな時代の、さまざまな作品の、さまざまなトニー・レオンを繋いで繋いで繋いで、つくられた映像。
ひとりの「俳優」をフィーチャーし、実在したスパイの物語をつくりだす、という制作コンセプトも実験的でそそられるのですが、
その「俳優」が、まさかのトニー・レオン\(^o^)/
一時期、(アイドル的に)ハマっていたこともあり、そのハマっていた時期に見ていたトニー・レオンの魅力的な姿が、バラバラと映る映る映る!
『ブエノスアイレス』!『花様年華』!『インファナル・アフェア』!などなど!の、トニー・レオン!
内容ぜんぜん入ってこない!トニーかっこいいいいい!!!!!


長尺の映像作品はよほどキャッチーでない限りスルーしてしまうのですが、
今回ばかりはスルーできなかった!
いったんは、数分見て、次の展示・もうひとつの企画展『トーキョーワンダーウォール公募2015 入選作品展』に足を踏み入れていたのですが、
トニーが頭から離れず、『ワンダーウォール展』(ゆとり作品多かったし)を足早に後にし、まさかの『他人の時間展』に再入場。
たっぷりと若き日のトニー・レオンに酔いしれてしまったのでした。


…被写体がトニー・レオンじゃなかったらこんなに食い付かなかったと断言できます(笑)
すっかりそのへんのオッサンと化してしまった近年のトニーですが、(超失礼)
彼の歩んできた俳優道をもしっかりと見せつけられたような気がして満腹っす。
にわかミーハーがなんかすんません。






さて、話を戻しまして、本命の『山口小夜子展』のお話。
「モデル」という肩書きにとらわれない幅広い活動・活躍をされていたとのことで、その軌跡には正直驚きました。
あまりにもビジュアル・アイコンとしての完成度の高さから、表現活動への能動的な姿勢が想像できなかったのです。
ただの、着せ替えのお人形さんではなかった。
また、はじめはモデル志望ではなく、山本寛斎のもとでスタッフをしていたところ、モデルとして大抜擢。
からの、以降アジア人モデルとして長くトップランナーに君臨し続けていた名実ともにトップ・モデル。


その存在は知っていたものの、彼女のいわゆる全盛期を私はリアルタイムで知らない。
"日本人形のような出で立ちのモデルさん"とでしか認識しておらず、気がついたときには訃報が舞い込んできたのでした。2007年のことでした。


そして、今回のこの企画展。
写真やグラフィックでしか見たことのない私が、
初めて見る、小夜子(と呼ばせて下さい)の動く姿・声、は衝撃的。
それこそ、小夜子は私にとって2.5次元の存在なのかもしれません。


前述しているように、まさかこんなにもクリエイティビティに溢れているひとだったとは。
多くのクリエイターが小夜子に刺激された理由のひとつには、そんな彼女の側面もあったのではないでしょうか。


彼女自身のビジュアル・アイコンっぷりを炸裂させた現代美術界で活躍するアーティストによるインスタレーションは圧巻。
マネキン・光と影・ドレス…大空間をつかったそれはなんと撮影OKだったりしたのでした。
とくに「小夜子マネキン」の完成度の高さと存在感からは、彼女自身の強烈な個性を際立たせていたように思います。


そう、その"強烈な個性"である山口小夜子という存在は、「モデル」としては、ややリスキーだったような気もします。
そんな背景もあり、彼女の携わるさまざまな「仕事」からはまるで拮抗するかのようなギリギリの状態の緊張感が見てとれました。
けれど、そのどれもはまぎれもなく美しい。


なにより、小夜子自身がファッションをとても愛していた、という数々のエピソードにはすごくほっこりさせられました。




『小夜子展』の次は冒頭でも触れた『他人の時間展』へ。
こちらはちょっとコンセプトが弱かったように感じられてしまって、あまり展示の全体のインパクトはなかったかな。
小夜子展の濃厚な時間と比較しちゃうのが(私が)だめですね。
頭でっかちな作品が多いように感じられて、「現代アート」の良いところとそうでないところが浮かび上がってきた印象。
…とか思ってたら最後にトニー・レオン祭りで"「アートってなんだっけ?(はなほじ)」状態"になってしまったわけですが(笑)




そのあと急ぎ足で前回来館時とはがらりと変わったコレクション展も鑑賞いたしました。
横尾忠則!船越桂!リヒテンシュタイン!、などなど、かの有名作家の作品が、さすが現美、何気なく展示されているのにはテンションあがっちゃいます。(ミーハー)




ひとつの美術館でたっぷりみっちり4つもの展覧会を堪能することができました!
やっぱり大手美術館はそれなりに楽しませてくれますね!
(ライブ以外で←)都心へ出るのはどうしても面倒なのですが、また機会があったら逃さず行く方向で!