ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

木下晋展−祈りの心−

こちらも同館での展示。
『棟方志功展』が『体力的に疲れた展示』だとすると、こちらは『精神的に疲れた展示』。
ずっしりと重いです。
展示スペースをふたつの展覧会でうまく分けていたと思います。
ふたつとも良い展示で、それぞれの内容やボリュームなどのバランスが良かったので、
これらを一枚の券で観ることができたのはなんだか得した気分。
こういうことってあまりないかも。


すべて鉛筆で描かれたリアリズムを追求した作品。
様々な事情を抱える被写体を描くことを通して、実は作家自身を描いているのではと強く感じました。
そのくらい作家のパーソナルな部分が垣間見えた。
被写体の孤独は作家の孤独、描き描かれることで共有される孤独。
知らない作家さんだったけれど、とにかく、作品を見ればわかる!って感じです。


図録は書籍としてもとても良く出来ていて、
作品に添えられた短文を読むと、また一歩踏み込んだところで観賞することができるのでおススメ。


会場のソファーに図録と一緒に置かれていた木下氏が挿画を描いた絵本を見てびっくりしたのが、
実在のモデルを描くときと架空の物語の世界を描くときのテンションが全然違う!
リアリティに歴然の差があって驚き。こんなに差の出る作家さんも珍しいと思います。