最後に映画館で映画を観てから約3ヶ月半経った。
映画『初恋』のひとつ前に観た『ジョジョ・ラビット』のときのほうが、
まだコロナウイルスというものがなんなのかがわかっておらず、
恐怖を感じていたような気がするのは自分がそう記していたからなのだろうか。
基本的に"忘備録"としてきたこのブログは、日記をつける習慣のない私にとって、
エンターテイメントを通じてまるで日記帳のような役割を果たしているとより強く感じられる現在です。
緊急事態宣言の解除を経て、
いったん落ち着いてきたかのように思わされていた日々も経て、
本日の東京都内の感染者数は124人だったと発表された。
昨日は107人で、2日連続で100人を超えた。
都内ではないとはいえ、映画館に行くのはとても緊張した。
けれど私はどうしても映画『スウィング・キッズ』が観たくて映画館に向かった。
ちいさな映画館ではチケット購入時と入場時の2回に検温・入場時に手に消毒液を噴射。
ロビーのソファーは使用禁止になっておりソファー自体が無くなっていたエリアもあった。
スクリーンの座席はひとつの座席につき左右2席ずつが使用禁止になっていた。
ウリEXOの、ウリ・ド・ギョンスが主演を務めた本作『スウィング・キッズ』。
もの凄いカロリー消費をした作品だった。ぐったり。
予告映像やメインビジュアルを見て想起させられるのは、
"ダンスと音楽で彩られたエンターテイメント映画"だった。
けれど映画は突きつけてくる。
これが戦争か。
一度観たらもうあの予告映像もメインビジュアルも、
まだ観ていなかったあのときの思い出のようなものになってしまう、そんな映画だった。
せめて公式サイトのあらすじはしっかりと読んでおきたかった。
これは私が朝鮮戦争という出来事に対して無知だったことが大きいのだけれど。
映画は朝鮮戦争に関わる様々な登場人物のエピソードが盛りに盛り込まれていた。
その情報量だけではじめのほうは頭がパンパンになってしまった。
ストーリーをちゃんと追えていた気がしない。
あらゆる点でこちらが準備不足だったというのもあるけれど、
ちょっといろいろとわかりにくく感じたりもした。
自分が混乱しているからかなのかもしれないけれど、時系列さえも曖昧である箇所がいくつもあった。
けれどそんな戸惑いですら、私に戦争を突きつけてきたもののひとつのようにも思えた。
こちらが引っかかる些細なことをもねじ伏せるパワーの凄さよ。
そのパワーはもちろんダンスだったり音楽だったりもした。
一方で「戦争」というものの存在でもあった。
物語はハイテンポに進む。
序盤はそこが戦争のさなかであることを忘れてしまうほど、とにかく全体的に明るかった。
鮮やかなカットに目が冴える。改めて韓国の映画の色彩の綺麗さは独特だ。
中盤、ある人物を起点に映画は様相を変えていった。
ここは捕虜収容所なのだとハッとさせられた。
そこからはなんかもう凄かった。
ただでさえ情報量で頭がパンパンなのに登場人物たちの感情がのしかかる。
ハイなテンポは変わらず、振り回されているこちらをよそに物語はガンガン進む。
まるで空に向かって駆け抜ける。
映画も、登場人物も、私も、とにかく駆け抜ける。
スクリーンには私の知っている「EXOのD.O.」はまったく顔を出さなかった。
映っていたのはずっとロ・ギスだった。
ギスはとてもカッコよかったしはにかめばとても可愛かった。
いつもちょっと斜に構えたようなギスの目が輝いた瞬間、私は撃ち抜かれる。
ギョンスの目は、本当に美しい。
スクリーンでギョンスを見るたび、
あまりにも私の知らないギョンスを見せつけられ、少しだけ淋しく思うことは許してほしい。
素晴らしい俳優、ド・ギョンス。
なんとただいま入隊中なのであります。