ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

芳華-Youth-




物語の舞台は1970年代の中国、激動の時代に在った、
"軍で歌や踊りを披露し兵士たちを慰労し鼓舞する歌劇団・文工団"。
映画が始まって、私までいきなり知らないところに連れてこられたような気分だった。
なにもかもわからない。どうしていいかわからない。
いや、観るしかないんだけど。


本作は群像劇も群像劇、登場人物それぞれが映画のなかで自分の人生の主人公であった。
だから私自身も作品のどこにいて見ていればいいのかずっと迷っていたのだと思う。
そこで描かれる彼らの青春は生々しかった。正直いじめを描くとは思わなかった。




宣伝ビジュアルが華やかで鮮やかでとにかく目を引く。
これに導かれて観たようなものだし、



なにより想像以上の悲しさを、「美しい青春」としてかたちにしてくれている。
ビジュアルはイメージだけれど、それでも私にとっては救いだ。




戦時下にある彼らの青春の華やかな部分はものすごく簡単に奪われる。
このふたりが主役だよね?、と思っていたふたり、シャオピンとリウ・フォンが、
主役らしい待遇を受けていたのは最初のほうだけで、
彼らの人生もいとも簡単にチェスの駒のように動かされてしまう。
彼らは決して特別な存在ではない。
ふたりは他の登場人物たちと同じように自分の思うままに振る舞っただけなのに、
文工団から過酷な戦地へ送られ、とてつもない惨状のなかにしか居場所を得られなくなる。
これが戦争か。こうなることが「主役」なのか。
美しい映像で忘れがちになるけれど、戦時中なのだ。




素晴らしい舞踏で魅せてくれたシャオピンを演じたミャオ・ミャオさんは、
なんといま現在30歳だそうで…!どう見ても17歳だったぞ!?
そしてリウ・フォンを演じたホアン・シュエンは、



本作では舞踏のシーンこそなかったけれど、彼こそ北京舞踏学院の演劇部出身で、
CMなどでバリバリダンスしているという。お目にかかりたかったな。




徹底的に「文工団」という場所をベースにしていたのがよかった。没入感がすごい。
"彼らの青春はここに閉じ込められている"という閉塞感がつらくもあった。
ここにいるしかないのか。だからいじめなんてもう最悪で、逃げ場がないのである。
ここにいるしかないからここにいることを望む。ここがすべてなのか。これが戦争か。


映画が終わって、とても悲しくなってしまってものすごく脱力していた。
映画『主戦場』の余韻がまだまだ強く残るなか、
タイミングもあって無理矢理観たのでいつも以上に疲れたのかも。
スクリーンの外にある映画館の椅子に座ってからなかなか動けなかった。