ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019 DISCOVER WORLD THEATRE vol.6「ハムレット」 in シアターコクーン

2019年の目標として「生の岡田将生を見る」ということを密かに掲げていました。
そうしたらタイミングよく機会がありまして、このたび観劇というかたちで叶いました!


その演目が『ハムレット』だと知った日には、「将生よ、大丈夫か?」と思ったけれど、
よくよく考えたら私のほうこそ「大丈夫だろうか…」という感じでしたね…


お恥ずかしながら、「ハムレット」と「シェイクスピア」のどちらが題名だかもわけがわからなくなるレベルのど素人だったので、今回はさすがにあらすじを予習しました。
予習も紆余曲折というか、「自分が理解できるあらすじ」を探すところからはじまるという、
なんたるシェイクスピア作品のハードルの高さよ。
この『3分でわかるハムレット』という動画が本当にわかりやすかった!ありがとう上智大学!





本当に心から、あらすじを予習しておいてよかった、『ハムレット』。
予習していたからとくにつまずくことなく観劇できたけれど、
あれ予習してなかったらたぶんなにがなんだかわけがわからなくなっていたと思う。
冷静にセリフとか聞いてると単純にセリフを発する速さに耳がついていけなかったり、
どこかの方言かなと思うくらい何を言ってるかわからないところあったし。


実際に隣に座っていた女性、めっちゃこくりこくりしちゃってた。
さっきオペラグラスとか覗いてたのにまじで!?って思ったけどまぁしゃーない!わかるよ!
あの言葉の圧でわけがわからなかったら眠くなっちゃうよね…




ところで今作は、1幕はこれは岡田将生のソロコンサートか?、というくらいの、
岡田将生ファン感涙もののスーパー岡田将生フェスティバルといった感じで、
岡田将生以外がまるで背景かのように感じられる佇まいだったのだけれど、
『ハムレット』ってそういう戯曲なの?演出なの?わからん。







岡田将生、美しすぎる。


こんなに美しい人間を、見たことがない。







岡田将生の美しさ、日本の宝だし世界の宝でもあると思う。
美しいというだけで舞台上における圧倒的な存在理由があると思わせるとんでもない美しさ。
顔が綺麗とか背が高いとか脚が長いとか細いけどちゃんと男らしくてがっしりしてるとかいろいろ形容できるけど、混じりっけのない「美しい」ということばが一番しっくりくる。


そんな美しい男が身を捧げるかのように、舞台で自身をさらけだしている姿が凄まじすぎて、
最初にハムレットが舞台でひとりきりになったときにめちゃくちゃ泣いてしまった。
そして、ああこれが私が舞台のいちばん好きなところだなぁって思った。




演技はこちらの心配をよそにとても立派なものだったけど、既視感があって。
それは昨年放送されたドラマ『昭和元禄落語心中』で演じていた菊さん。
"菊さんが落語を噺しているときの演技をする岡田将生"と似ているように感じました。


今期の朝ドラ『なつぞら』で演じているチャラっとしたキャラクターは、
キャラに岡田将生の持つ貫禄というにはまだ及ばない存在感が負けちゃってる気がして、
あんなに好感度の高い朝のお茶の間にぴったりの俳優さんなのに、
朝ドラというものに驚くほど馴染んでいなくてびっくりしていたんだけど、
たぶんあれこそがよく見かける"岡田将生の素直な演技"なんじゃないかなって思います。
今作や『昭和元禄落語心中』では、対象のキャラクターを演じるために、
演技をする前から演技をするための自分を演じている・用意している、というか。
器用なんだか不器用なんだか。


あっでも岡田将生、あの見た目からは想像できないくらいかなり動けるので、
それはめちゃくちゃびっくりしました!!!!!
あれは映像では絶対にお目にかかれないやつなので、
本当にスーパー岡田将生フェスティバルありがとうすぎます。
あんなに美しいのにあんなに動けるの、あまりにも予想外でした。
あの非日常的な美しさの造形の人間があれだけ動けるのは、
もはやエヴァみたいに誰かが操縦してるんじゃないかって疑うレベルです。




とにかく黒木華ちゃんの演じたオフィーリアがすごすぎたんですけど!!!!!!!!
1幕はまじで岡田将生のソロコンサートかなという感じで、
ファンとしては嬉しいけど舞台としては…という感じだったんです。
けれど、2幕で黒木華ちゃんのオフィーリアが「完璧な悲劇」をつくった…たったひとりで。


1幕の将生のソロコン(違)では、オフィーリアも他のキャストと同様に、
あまり目立った存在ではなかったように感じました。
ところがどっこい、2幕で、ハムレットよりずっとずっと少ない登場時間で、
一気に舞台の核を作り上げた黒木華ちゃん、本当にすごすぎました。


確かに「ハムレットを演じる岡田将生」には泣けたけれど、
「黒木華が演じたオフィーリア」に泣けたのとは同じ「泣けた」でもまったく種類が違う。
てか黒木華ちゃんめちゃくちゃ綺麗でびっくりしました!
そしてオフィーリア退場後、一気に舞台上の「悲劇」の強度もがくっと落ちた気がする…


とはいえ、2幕に関しては岡田将生も完全にエンジンかかっていて、
1幕のような妙なクセはあまり気にはならなかったです。
ノッてるというか、舞台の上で演技することをとても楽しんでいる感じ。
本当に1幕の将生のソロコンはなんだったんや…




一昨年に観た生田斗真と菅田将暉の『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』は、
『ハムレット』のほうを先に見ていたほうがよりおもしろかったんだろうなぁと思いました。
ちゃんと「劇団」などの共通の登場人物も出てくるので本当にスピンオフだったんだな~と。
また、今作とはキャストや演出をはじめあらゆるものが違うからこそ、
スピンオフものとしてもぜんぜん違った楽しみ方ができそうで。
有名戯曲ってそういう楽しみ方があるのか~と観劇素人は初めてそれに気がついたのでした。
それでも私の観たロズギルはロズギルでしっかりとおもしろかったんですけどね。


ハムレット対決として『ロズギル』の林遣都と見比べるのもおもしろかった!
林遣都はさすが達者という感じで、血走っていて生き急いでいて、
「主役じゃないハムレット」だからこその、主役らを食う勢いの熱量がすごくよかったし、
岡田将生のほうはフィジカルというか見た目の圧倒的な美しさもスキルのうちという感じ。
でもそれも才能だし、実力だし。
岡田将生は「主役」だったからこその若さゆえの虚無やなりふり構わない荒々しさがとてもよくて、幼くて青々しくてみずみずしい、魅力的なハムレットで…
う~やっぱりどっちも好き!ほら~こうやって楽しむことができるのが有名戯曲なんですね。
いろんなひとが演じるハムレットが見てみたくなるなー。


野田秀樹とかKERAさんとかの演出が好きなので、今回はそこはちょっとな~と。
「舞台がおもしろかった」っていうより、どうしても役者さんのことばかりに。。
ただでさえ完全に岡田将生目当てで観劇ということもあるしで。
松雪泰子とか映像でもめちゃくちゃ強いのに、舞台のほうもすごく強かった!綺麗!
青柳翔もご立派になられて…!と感慨深いものが。
『劇団EXILE』、ここまできたかという感じ。とてもよかったし、すごく格好良かった。
ただ、にじろーは好きなんですけど、今回はちょっとわかんなかったっす。


セットはまぁという感じだったし、演出もまぁという感じではあった。
衣装に関してはちょっと理解に苦しむ感じだったな…ロズギルはパジャマじゃん…




今回、生まれて初めてのバルコニー席でした。下手側。
バルコニー席、めちゃくちゃよかったんですけど!超近い…
私は背が低いので座高も低くて、割といいはずの席でも基本的に埋もれがちなんです。
それと比べるとサイドのバルコニー席のほうが「見えにくい」っていう基本的なストレスがまったくなかった。前の方だったからかな?


でも席の名称が「BL」だったもんで、ちょっと席探してたら若いお兄さんに「BL(びーえる)ですか?」って爽やかに聞かれてなんだかめちゃくちゃ恥ずかしくなっちゃったよ…


おまけに、席の前を普通に岡田将生が通るし、
席の横を岡田将生が普通に通るし(もちろん演出だけど)めちゃくちゃおいしかった…


そんな恵まれた座席だったにも関わらず、
観劇のブランクもあってか双眼鏡は持っていったのにオペラグラスを忘れまして。
近すぎたのか双眼鏡ではボケボケでしたね…
それだけ肉眼でも十分な席でしょうということなんでしょうけれど。
それでも人間欲張りですからもっと将生をよく見たかったなぁと。今後に生かしたい。




そしてまたしても平成・令和云々の話なんですけど。
自分でもびっくりなのだけれど、今回のチケット発券のお知らせがきたときに、
このチケットをなんで取っていたのかが本当にわからなくなってしまって(笑)
理由はもちろん覚えてるんだけど意思を忘れたというか。混乱。
理由はまぎれもない「生の岡田将生を見る」というミーハー極まりないものだけれど、
個人的元号問題は思ったより深刻で、そのときの熱量が…どこかにいってしまったのか…?


こんなことある…?


いまでこそ、またそこから少し時間が経って、
いままで触れてきたものに対してどういうふうに触れたらいいのか忘れてしまうという、
記憶喪失もびっくりの状態からは抜け出せたものの、本作のチケットを発券した時期は、
世界のタイムラインのなかで自分だけ止まってしまったかのような感じがあってすごく「ひとり」を感じていました。


舞台ってチケットの販売がめちゃくちゃ早いじゃないですか。
今回のチケットも約半年くらい前に購入しているんですよね。
まぁ興行やその内容のことを考えたらぜんぜん不思議じゃないんだけど。


でも、今回本当に生の岡田将生を見ることができて、やっぱり岡田将生が好きだなぁと実感。
平成の私からプレゼントをもらったかのようなちょっと不思議な気分です。
そして、舞台でしか見ることのできない岡田将生、もっともっと見たくなったのでした。