ミーハーでごめんね

ヲタク気質のミーハーだよ!

バーニング 劇場版

めちゃくちゃ気持ち悪い映画だった。
この「気持ち悪い」はトリプルミーニングどころかフィフスミーニングというか。



なにもわからないし、なにも信じられないし。



せめて心情的には主人公の身に起こることくらい信じたいのに、それすらさせてくれない。
映画自体がずっとそんな風に掴めそうで掴めなくて、要するに掴みどころがまったくなくて、
それでも映画のなかで起こっていることは、
めちゃくちゃこちらの心を揺さぶってくるものだからタチが悪い。


でもそういう徹底的に輪郭をぼかして、
核を見せない、みたいな作品て美しくもある。わかる。
それを抜きしても映像はとても美しかった。
ラストシーンの一連のカットも好きです。


だからこそ、作品に対して鑑賞以上に楽しむ部分もたくさんある作品だとも思うのだけれど、
あいにく個人的にいまそんな余力がないというか…
そんなんわかっとるわみたいにそういった部分をつっぱねてしまう。
あ~~自分、疲れてるんだなぁって。




とにかく気持ち悪かった。


無理やり仮に主人公ジョンス(ユ・アイン)の視点に全力で寄り添ってみても気持ち悪い。
ベンも気持ち悪いしなんならヘミも気持ち悪いし。
もちろんフィフスミーニングの「気持ち悪い」の意。


観たあとずっとしんどい。
この「気持ち悪い」というものは身に覚えのある類のものでもあるので、余計にしんどい。
つくった側の意図がなんとなく「わかる」のがさらにしんどい。
今回はそれを「作品」として受けとめられず、
勝手に自分が傷ついていることも知ってるからしんどい。
全体的に憂鬱な日々に新たな憂鬱がぶちこまれたようで本当に憂鬱。
身体まで重くてしんどいんですけどこれはたぶん低気圧の影響でしょうね…




ヘミを演じたチョン・ジョンソさんは今作が女優デビュー作だそう。



そんなの信じられないくらい魅力的な女優さんでした。
目で追ってしまうタイプ。だけど、たぶん私の苦手なタイプ(笑)




"韓国の貧困層の若者"を描いた作品を初めて観たわけだけれど、
この映画、韓国人の方から「(状況がリアルで)見るのが辛い」という声もあるとのことで、
そういった点でも本作は過剰な演出以前に「リアル」を映し出そうとしていたことが伺える。


こちとら"韓国の若者"="K-POPアイドル"のイメージばかりなのでいろいろと衝撃的だったし、
K-POPアイドルのヤバいスケジュールとかヤバいレッスンとかの根のようなものを見た感。
挙句、ユ・アインがモンエクのショヌさんに見えてくるので、
「もうはやくアイドルになりなよ…」みたいな気分になってくる。(謎)
あと一般人による芸能人への異様なネット叩きの闇とかも垣間見えたような気がした。


K-POPが好きな者としては冒頭からガンガン『SISTAR』のこれが流れてテンション上がるし、
なんなら映画が終わったあと、映画を思い出すときにリフレインします。
ここでの起用でこそ音源強者の現地の"大衆人気"…!
ちゃんとクレジットにも載ってたし。すごい。




全体的に唐突な感じは「村上春樹が原作だしね」でぜんぶ片づくのがすごいし、
この「村上春樹が原作だしね」と韓国の映画の相性の良さは想像以上だった。
村上春樹への偏見と韓国への偏見でもある。


なにがすごいって自慰シーンの多さも、
「村上春樹が原作だしね」でぜんぶ納得できてしまうという…(韓国関係ない)
原作とは内容がぜんぜんちがうらしいのにね…原作、読んでみたいです。


個人的にコンドームをつけるシーンがよかったし、
ジョンスが行為中に壁にできる窓からの光に目がいってしまうのがよかった。
そういった登場人物の台詞から派生するシーンが多くて、
そういうところはとても楽しめたし、とても綺麗だなと思えた。




この映画、NHKで特集ドラマとして短編版が映画版より先に公開されているのですね。
そういえばCMで見た気がする。
公式ウェブサイトにも、

NHKが、アジアを代表する映画監督たちと、村上春樹の短編小説の映像化に挑戦します!

と記されています。


映画の冒頭やエンドクレジットにもやたらとNHKのロゴがあったり。
こういった試みは素直におもしろいと思ったし、
映画版は『万引き家族』とパルムドールを競うほどの評価を得た作品となったのもすごい。
そのへんの内情も気になるところです。