ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

女子的生活

本当にいいドラマだった。
ごくゆるやかに主人公の「#女子的生活」を映す。
ただ、主人公「みき」がトランスジェンダーである、そんな話。


「みき」っていう女性が、すごく好き。
まっすぐでかっこよくてきれいで、でもどうしても人間くさい。



そう思わせてくれるみきを演じた志尊淳くんの演技に大きく左右される作品だったと思う。




\ワタシタチ、社会派ドラマやってるんです!/っていうドヤ感がいっさいなくて、
ただただ「みき」というしっかりとつくられたキャラクターの日常を、
丁寧にストーリーにしている、という感じがとにかく好印象だった。
そこにはとくに派手さとかはない。
だからこそ、みきが何者かという以前に、現代を生きるひとりの人間としてすごく共感できるところがあったりして、見ていて元気が出た。




私にとってそういった作品になった理由のひとつは、まぎれもなく"「志尊淳」という俳優"であるということ。
かわいいお顔、スタイルのいい身体、そしてその若さから、
どうしても志尊くんは"「志尊淳」っぽい"役が多い。当然っちゃあ当然。
正直それらの役は、先に挙げたルックスがあれば成立するような役が圧倒的に多い。


もちろん本作も例外ではなくて。
けれど、今回の「みき」という役からは、彼の俳優としてのパワーを見せつけられた。


"女装した志尊淳"のビジュアルの完成度は凄まじく、それはそれはキャッチーだった。
私もそれがきっかけで視聴したようなものだ。
ところが、ドラマのなかには"女装した志尊淳"はおらず、そこにいたのは「みき」だった。


一挙一動が私の知っている「志尊淳」ではなく、
また複雑な役柄設定にも関わらず、その複雑さなど微塵も感じさせない「みき」だった。
これには本当にびっくりした。
見くびっていて本当にごめんねそんじゅん、ていう感じ。
たぶん志尊くん当人よりずっとオトナを演じていると思うので、よりその技量が際立つ。
もっといろいろな役の彼を見てみたい。たのむぞナベプロ




町田啓太も『ハイロー』のノボル役くらいしかろくに見たことがなかったもんで、
こんな演技もできるのかとこちらもめちゃくちゃびっくりした。
バカでカワイイ後藤が最高にかっこよかった。



普通に、オメーら付き合ってくれよ案件。




先シーズンは『監獄のお姫さま』や『刑事ゆがみ』などを楽しく視聴していた。
伊勢谷友介であんなに遊べるのはクドカンだけだろうし満島ひかりの演技は物凄かった。
浅野忠信神木隆之介がバディの刑事ものだなんて映画並みの豪華キャスティングだった。
(神木くんの配役めっちゃよかった)
けれど、タイミング的に、このエンタメ色の強いテレビドラマという身近なフィクション作品をうまく消化することができなかった。
だからこそ寄り添ってくれる今作のような存在がなお優しく感じる。


すごい、よくやったNHK。ありがとうNHK
難しくなってしまいそうな「題材」を、完全にキャラクターの「個性」として扱っていた。
だから、"「みき」というキャラクターが主人公のドラマ"として、
みきに自分を重ねたりしながら、素直に楽しんで見ていた。
まぁ重ねたりするわけだからゲラゲラ笑って楽しむという類ではないけれど。
それはつくった側のビジョンがすっとこちらに伝わってきたからだと思う。