ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT

Perfume』のドキュメンタリー映画は、とにかく「愛」にあふれたものだった。


"Perfumeだけの映画"じゃなかった。
とくに、長年時間を共にしたスタッフの姿がしっかりと感じられたのが印象的でした。
そして彼女たちのファンの存在。
全部があったかい。
それらをこっそりと覗き見た感じ。


本当にタイトル通り、ほぼワールドツアーの様子しか映されません。
作品としておもしろかったか、といえばそうでもない。
けれど、観ているあいだは多幸感がありました。
エンターテイメントの瞬間をスクリーンに感じられた喜びがありました。
もうそれでじゅうぶん。




映画から高飛車な雰囲気が一切なかったのも好印象。
逆に言うと、ちょっと地味すぎるくらいだった。
あれだけのパフォーマンス、楽曲、ビジュアルディレクション等々を備えているのに、
それをいっさい推さなかった潔さがすごい。
ストーリーはないようなもので淡々とその場その場の出来事がただただ映し出されます。
こちらはそれをただただ静かに見つめる。


真鍋大度さん、冒頭の映像から大活躍でした。
あれが無かったら"『Perfume』の映画"という感じはしなかったのでは。
ライブでも小さな会場では彼の演出が際立っていました。




映画本編には余計な演出・脚色はありません。
逆にいうとそれが演出・脚色だったのかもしれない、なんて思えたり。
また、"「アイドル」のドキュメンタリー"にありがちな、お涙頂戴な描写は一切ナシ。


私は『AKB48』のドキュメンタリー映画を「これ以上、彼女たちを嫌いになりたくない」という理由で、ある時期から見なくなりました。
それは"ネガティブなものをエンターテイメントとして売ること"に疑問を感じたから。


そういった意味でも派手な出来事は起きない今作はとても新鮮でした。
それでも泣けたんです。




かしゆか・あ~ちゃん・のっち。
3人とも、その3人でないときが全く映されていませんでした。


映っていたのは、かしゆか・あ~ちゃん・のっち、だった。


中の人などいないかのようだった。完璧だった。


その完全武装っぷりは私が『Perfume』を「アイドル」としてではなく「アーティスト」のように感じることを、良い意味で再確認させるものでした。
この"完全武装=神格化"のようなものはアミューズの戦略なのだろうか。
けれど、彼女たちは「神」じゃなかった。


映画のなかの彼女たちは、ファンやスタッフを含めた周りから愛される『Perfume』だった。


私は特別Perfumeのファンじゃないし、楽曲すらもあんまりよく知らない。
彼女たちのテレビなどで見るパフォーマンスはいつも「アスリート」みたいだな、と思っていました。
ハイヒールで躍動する姿はさながらスポーツ。「カッコイイ!」、と思わせるもの。
そんなパフォーマンスの合間にようやく垣間見える彼女たちのキャラクターを、ほんのちょこっとしか知らない。


それでも、私の知っている、かしゆか・あ~ちゃん・のっち、だった。


ちやほやされる立場にあろうとも一瞬でも決してチャラけたところは見られないし、
逆にイマドキっぽさがなく、ちょっと時代錯誤感があるくらいのほのぼのとしていました。


ところがステージのこととなると一変。
セットリストの変更や舞台演出に積極的に意見する姿からは『Perfume』としての誇りと自負を感じました。
そういったところを含めてもイメージどおりだった。その『Perfume』、知ってる。




「受け入れられて当たり前」、の日本での様子がほとんどなく、
イイ意味で観ているこちらが誰にも感情移入することなく、とても落ち着いて観ることができました。


それでも向けられていたカメラは優しかった。
カメラマンさんはきっとずっと(心のなかで)笑顔だったんじゃないかな。