ミーハーでごめんね

ヲタク気質のミーハーの忘備録。ネタバレ要注意。月別アーカイブを見られるようにしました。

風立ちぬ

観終わって、自分の眉間のシワが寄っていたことに気がついて驚いた。


頭の中がまっさらになりました。
ただ、"アニメーションを観た"。
そしてそれは"映画を観た"ということ。
でもそれだけじゃなくて、"宮崎駿監督の頭の中を覗き見てしまった"感。
ああ何か不思議な感覚。


テレビ番組『笑ってコラえて!』のスーパー制作裏側取材スペシャルが素晴らしかったり、
主題歌であるユーミンの『ひこうき雲』フル尺のスーパー予告では号泣するくらい感動したりしていたので、
それらとのギャップが悪い意味で凄い。
どちらも、映画本編の先に見るんじゃなかったあああああ!!!、と反省。
けれども情報がメディアに溢れてしまっているのでそれらを回避するのは難しいっす(涙)




ジブリにしてはかなりスマートな作品。
よって余白はたーーーっぷりです。
観るひとによって、かなり感想が違ってくると思います。


アニメーションは期待を裏切らぬ出来。
ふんわりとした優しい・柔らかいタッチは厳しい時代をジブリ流のフィクションに変身させます。
久石譲による音楽も壮大で大迫力。物語に華を添えます。


新作を出すたびに過去の作品のクオリティを超えてくる宮崎駿監督作品なのですが、今回は物足りなかった。
毎回、宮崎作品は号泣するので観る前からティッシュの準備までしたのにサーーーッパリ泣けず……
泣けりゃあいいってもんじゃないけれど、そんな風になってしまった私が悪いの!?、と泣きたい気分です(涙)
「どうだ!感じてみろ!」と、制作側の秘めた強い心意気のようなものは感じられたのですが、
ちょっと空回り気味でした。
エヴァ的な難解さ・マニアックさがあり、宮崎監督も変わっていっているんだなー、としみじみ。




"ひとりの男の人生"としては、とても美しく描かれていました。
なのだけれど、それが美しい面ばかりでこちらに訴えてくるものが弱い。
"美しさの裏側"をもっと見せてくれたら、もっと感情移入等できたはず。


展開が急すぎてわけがわからない箇所多々。
アニメーション作品ならではの力づくの展開を"ファンタジー"として描き切れていないので説得力に欠けます。
"飛行機づくり物語"と"恋愛物語"の絡み方もキツイ。
主人公・堀越二郎とカプローニの織りなす"二郎の夢の中での物語"は綺麗に物語の本筋とを行き来できたと思います。
ですが、それらいくつかの物語のバランス配分があまりうまくいっていなかったように感じました。


二郎がぶっきらぼうすぎて飛行機に対する情熱があまり伝わってこず。
飛行機づくりに没頭する姿が多く描かれていたけれど、それが"情熱"にリンクしない。
それを補っていたのが夢の中でのシーンでした。
夢の中での二郎は、それはそれは幸せそうで。
けれど、その幸福感をこっちに分けてくれよ!、と言いたくなるくらいにそれは物語の中だけで完結してしまっているんですね。
だからこちらは熱くなれない。


個人的には、堀越二郎が「ゼロ戦」にどういった心境で向き合っていたのか、もっと掘り下げて欲しかったです。
そこにはほとんど触れず。残念。
"感じ取る"ところだということはわかっているのですが。




庵野秀明の「堀越二郎」は、最初は棒読み感が気になってしまったけれど、
物語が進むにつれ作品に馴染んでいって、それが二郎の唯一無二の存在感をつくりあげていました。
また、周りを固める声優(俳優)陣の演技がとてもよかったので、そこでカバーされてたことも大きかったように思います。
西島秀俊が演じた本庄は男気が感じられて好印象。
野村萬斎によるカプローニはさすがといった感じ。




以下ネタバレあります。




作品上映終了後、鈴木敏夫プロデューサーから「『風立ちぬ』の内容を教えてください。」との手紙を読むことになります。
そんなことは簡単にはできない、ひとことで言い表せられない作品であることは確かなのです。
(まぁ、思いっきりauの宣伝なんですけどね…)


カストルプの声を担当した、スティーブン・アルパートさんが歌を上手に歌えていて本当に良かった(笑)
『笑ってコラえて!』SPで、アフレコの裏側を見たのですが、
スティーブンさん、もう手に負えないくらいの音痴でいったいどうなることかと(笑)




ぽーーーっと眺める感じで鑑賞に挑めばよかったなー、と大後悔。
期待のあまり、(私の気持ちの)姿勢が前のめりになりすぎました。
また機会があったら今度はゆったりとした気持ちで鑑賞したいです。
きっと今回は見つけられなかった作品の良さを見つけることができる気がするから。
そんな作品です。