ミーハーでごめんね

ヲタク気質のミーハーの忘備録。ネタバレ要注意。月別アーカイブを見られるようにしました。

中学生円山

監督・脚本が宮藤官九郎、ということで、
朝ドラ『あまちゃん』に絶賛ハマり中な私はそのブランド力に惹かれ、こちらも期待したのですが……
あちらは表の顔、こちらは裏の顔、といった感じ。
すっかり忘れていたクドカン作品のベースの部分を見た気がします。
『あまちゃん』と同じだったのは大人計画の役者さんがたくさん出演しているところでしょうか。




悪い意味で、現代アートの映像作品を見ているかのような気分になりました。


思春期の妄想力の無限大さと貴重さ。
クドカンの思いやメッセージ、みたいなものはじんわりと伝わってきます。
ただそれがどこか冷めていてテンションが低い(笑)
なのだけれど、妙な鋭さがあって、それが後味として残る不思議。
深いようで浅いようで深いようで…と、あえて曖昧にこちらに問いかけてくるような感じにハッとさせられたりも。
見る側もどこか試されてるような感じがします。
そういったところも込みで、なんだか怖かった。


パッと見は地味な作品。
描かれていること自体はポップなのだけれど。
あくまで中学生の妄想の域を超えないようにバランスをとったのか、ともとれますが。


序盤、一気に主人公・克也の現在がわかるスタートダッシュが良い感じ。
設定もおもしろかったです。
リアリティーのあるファンタジー、ファンタジーのあるリアリティーの詰め合わせ。
それらがすべてが、克也の妄想、生活・行動範囲圏内ですべて起きる出来事。
韓流ドラマにハマる克也の母(坂井真紀)を皮肉りながらも純粋に笑いとロマンスに仕立てあげてしまうのもさすがです。
妄想シーンの世界観も悪くなかったと思います。
マニアックながらクドカン作品らしい笑いにあふれていて、
テレビではできない、本当につくりたかった映像作品をつくったのでしょう。
しっかりと突き抜けています。


クドカン作品ならではの、しょーもないお馬鹿な作風は大好きなのですが、
本作は、挟みこまれるシリアスな場面との振り幅があまりなかったので物足りなさがありました。
妄想と現実がリンクした瞬間は、なんともミステリアスでヒヤッとした感触があったものの、
そこまでストーリーが盛り上がるわけでもなく。
視点がドライなせいかあまりグイグイとこちらに訴えかけてくるものがない。
いろんな出来事が同時多発しているけれど、散漫でチカチカする。
キャストに華がない・華のある役がいないことも原因のひとつかも。
ヒロインは美少女・刈谷友衣子ちゃんだけれど、さすがの彼女でもこの作品でそういったポジションは荷が重いです。


草なぎ剛演じる下井のキャラクターも中途半端。
もう少し作中でのどっしりとした存在感が欲しかったです。
なんだかこまごましていてキャラ設定が全然頭に入ってこない。
もうひとりの主人公なので、ココが曖昧だとどうにも作品が締まらないのです。


妄想のスイッチが入る瞬間の表現がダサかったですね…。
そこに限らずCG丸出しのシーンは萎え。


キャストは皆さん演技が上手で良かったと思います。
克也を演じたのは平岡拓真くん。ドラマ『11人もいる!』での四郎役の彼です。
大好きなドラマだったのでそこでのクドカンとの出会いから発展したキャスティングなら嬉しいですね。
クドカン直々のオファーだったそうです。
『11人もいる!』のときより、ちょっと格好良くなっていました。体当たりで頑張っていたと思います。
草なぎ剛の演技は凄味がありました。
演技力が過大評価されすぎなイメージだったのですが、狂気を含んだ穏やかだけれど近寄りがたい、という
独特な空気感をまとっていて、とても良かったです。
一見、平凡に見えるところも含め、なかなか主役ばかりを務める役者さんが醸し出せる雰囲気ではないと思います。
探偵はBARにいる2』には麻美ゆま、でしたが『円山』にはRioが出ていました。




以下ネタバレあります。




克也の妹・小学生のあかねの友達の認知症のおじいちゃんがロックンローラーの顔を持っていて、
その姿を見たあかねが惚れ、なんとふたりは"付き合う"ことに。
一緒に手をつなぎ、歩きながらあかねが「ひとりだと"徘徊"だけど、ふたりだと"デート"だね」、と言う。
こんな物語を紡げるのは、なんだかんだ、クドカンしかいないです。