映画版の感想です。
ミュージカル等は観たことがありません。
2013年の一発目は、"絶対に『レミゼ』!"、と決めていました。
新しい一年の幕開けにふさわしい素晴らしい作品だったと思います。
でもちょっと期待しすぎたかな。
各歌の曲調が似ているので胸やけしてしまったのが原因かも。
けれど間違いなく、良作です。
ものの見事に歌・歌・歌!
台詞もほとんどが歌なので(歌いながら話す)度肝を抜かれました。
映画自体が突然歌から始まるのでびっくりするのですが、すぐに世界観に馴染めるので大丈夫。
そしてこのミュージカル映画、なんと実際に歌いながら撮影したのだそう。
演技と歌唱が織りなす観たことのないものになっているのです。
"THEミュージカル"な派手な演出は一切ナシで、ドラマのなかに歌がちりばめられ、埋め込まれている。
つくり手の気合いを感じます。
大作と呼ばれる作品ならではの予算がから回っている感じがいっさいしないのも好感が持てます。
とても丁寧に、慎重につくられている。
ヒュー・ジャックマン演じるジャン・バルジャンと、ラッセル・クロウ演じるジャベールが
歌いながら対峙し、追い追われ、そして対決する、
それだけでも観る価値アリです。
物凄い空気と緊張感。
先に挙げたふたりを含め、アン・ハサウェイやエディ・レッドメインなど、
歌うイメージのまったくなかった役者が続々と堂々たる歌唱を披露していくのにはかなり驚きました。
凄いです。なんで皆こんなに歌えるの!!??
相当な稽古をしたのだろうなぁ、と胸が熱くなります。
冒頭のスケールの大きい映像と演出で一気に引き込まれます。
ひとつの物語のなかにいくつかの物語があって、それらが繋がっている構成が、しっかりとおもしろい。
三時間弱の長丁場ですが、飽きずに観ることができました。
いきなり話がぽーんと飛んで、「?」となる箇所もあるのですが、
ミュージカル映画の性格でばっちりカバーできていると思います。
そういった"映画"と"ミュージカル"のバランスのとり方も秀逸。
カメラワークがとてもよかった。
対話の歌部分でも登場人物の顔にズームすることで迫力が増す。
そういった映し方が多いからこそ引きの画も活きます、抜けるような開放感のある空撮もスッとする。
コントラストが気持ちいいです。
各時代、閉鎖的な空間でストーリーが進むので、登場人物をいかに魅力的に描けるかが重要だったと思います。
本作は主役クラス以外の登場人物にもしっかりと丁寧にキャラクターを与えていたことで
主役クラスの登場人物も、より生き生きと見え、とても深みのある作品になっていました。
革命運動のリーダー、顔の雰囲気がBOYFRIENDの西野…もといドンヒョンに似ててイケメンでした…←
一番グッときたのはマリウス(エディ・レッドメイン)に恋心を抱いていたエポニーヌ(サマンサ・バークス)のシーン。
エポニーヌは私のなかで一番親近感のある登場人物だったので。
あの親にしてこの娘???、という感じではありましたが。
両想いのマリウスとコゼット(アマンダ・セイフライド)ふたりの合唱に熱い視線を送りながら
ひとりそれに、ひっそりと、でも激しく重ねて歌う姿がたまらんかったです。
『レミゼ』出演を目標に掲げる秋元才加ちゃんにはこの役をやってほしい!
コゼットとエポニーヌの関係や対比は昼ドラ的でもあり、惹きつけられます。
マリウスはもともと坊ちゃんということもあり、革命失敗からの豪華結婚式が露骨すぎてやや引きました(笑)
ラストシーンは号泣しながら「なんでこのシーンなんだろおおおおおお(涙)うわああああああん(涙)」と。
新時代の幕開けを共に戦った死者と迎える画はそれはそれで素敵なのだけれど、
個人的にはもっとジャン・バルジャンにフォーカスして、
壮絶な人生を生き抜いてきたひとりの男の歩みを壮大に締めくくってほしかった。
けれど全編に渡って暗めのトーンだったこともあり、この晴れやかなラストは震えます。人生賛歌。
是非、大画面・大音量で!
映画館での鑑賞をおすすめします。