ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

黄金を抱いて翔べ

はたして、黄金を抱いて翔んだか?


う゛〜〜〜〜〜ん。
ちょっと期待外れだったかなぁ。思いのほか大雑把。
展開が不自然に速くてリアリティがない。
説明不足なせいか、登場人物にも厚みがなく、薄っぺらい。
主要登場人物6人それぞれの金塊強盗に対する想いみたいなものもさっぱり感じられず。
と、全体的に重しがないのでふわふわしちゃってます。
そこを"男の世界"的なところでカバーするかと想ったけれど期待したような格好良さはなかったです。
そういう意味では変に格好つけていなかったのは好印象。
エンタメ的な派手さはなく、どちらかというと地味なくらいでした。
はじめからキャラクターが完結してしまっていて、
ストーリーとともに登場人物を追うような目線になれなかったのも大きいかも。


登場人物たちは野田(桐谷健太)以外は「お金が欲しいから」という理由で
この強盗計画に参加しているわけではない。
みんな、それ自体を拠りどころに、ただただ存在しようとしている。
そして本作でそれが鮮やかに描かれていたかというと、残念ながら描けていません。
だから、なんでこのひとたちからは団結力や結束力のようなものが欠片も感じられないんだろう?、
という余計な疑問符がついたまま物語が進んでいってしまいます。
本当はそんなことはどうだっていいのに。
逆に登場人物たちが変に馴れ合わないところが良かったとも思います。
ただ、その"馴れ合い"が見たかったし、楽しみにしていたところでもあるので
そこを補えるなにかがないとつまらないんですよ。
唯一、幸田(妻夫木聡)とモモ(チャンミン)のあいだに流れていた空気は
そこはかとなく私情があって良かったです。


作品自体はそこまで格好つけてないのに台詞が格好つけちゃっていてやや寒かった。
もっとみっともないような泥臭さが感じられることばを発するようなキャラクターたちだったら
より人間味を感じられたかもしれません。


原作は未読ですが、物語のメインとなるべく金塊強盗以外のところで
たくさんの"傷"を負ってしまうところも
なんとなくもやもやする鑑賞後の後味の悪さに繋がっているような気がします。
そこで起こる事柄の後の空白がまったく描かれていないのも釈然としません。
気づいたらどんどん計画が進んでいってしまっている。
端折られたところも多かったんだろうな〜、というのが容易に想像がつきます。


北川を演じた浅野忠信は物凄かったです。
傍目からはわからないけれど、実は完全にイッちゃってるという難しい北川という役を完璧に演じていました。
桐谷健太はハンサムなのに油っこい、ちょっと残念な役をやらせたら天下一品です。
彼はジイちゃんを演じる西田敏行と一緒に『アウトレイジ ビヨンド』にも出演していたのですが、
ふたりともさすがの存在感と演技。振り幅が凄いです。
溝端くんはちょっと固かったかなぁと。もう少し柔軟に演技できたらいいですね。
そして肝心要、主人公・幸田を演じた妻夫木くんなのですが、どうしてか私の中ではスベってましたね…。
妻夫木くんは2007年に演劇『NODA・MAP キル』を観て、これは凄い役者になる!!!、と思ったのですが、
どうも青臭い部分が残ってる役じゃないとちょっと厳しい。
代表作であろう『悪人』の演技を観てないのでなんともいえないところではあるのだけれど。
ちょっと演技が過剰な印象を受けました。
ヤクザを演じた青木崇高がとってもよかった!
最近いろいろな役柄で演技を見る機会のある俳優さんですが、これからもっと活躍の幅が広がりそうです。
チャンミンに関しては後述しま〜す。


ラストはかなーり呆気なくて拍子抜けしてしまいました。
ただただ呆気ない。
主題歌は安室奈美恵『Damage』。
ラストシーンとエンドロールの間が悪かったのか、あまりガツッとこなかったですね。
もっと目の覚めるような大音量でガンガン流しちゃってもよかったのに。
よっぽど予告のほうが勢いや強さが感じられて良かったなという印象でした。




以下ネタバレあります。




私は東方神起が好きです。告白。
なので今回の映画はメンバーのひとりでもある"チャンミンが日本映画に初出演する!"
ということでMAXチャンミン楽しみにしていました。
評判の良い井筒和幸監督作品ということもあり期待値もMAXチャンミンでした。
映画を観る前はできるだけ作品についての情報を入れないようにしている私ですが
今回はそんなことはできるはずもなく、いまだかつてないほどに情報漁りまくり。
予告やら試写会の様子やらラジオやら記事やらオフショットやらたくさんたくさん見聴きしました。
というか、普通に東方神起情報をチェックしてると嫌でも目や耳に入っちゃうんです。
さすがに人様の感想は見ませんでしたが。
するとどうでしょう。


なんか…楽しくなかった…。
新鮮さがなくて…。


だって普通にキャストが「ほとんど死んじゃう」とか言っちゃってたし。
モモの女装シーンとかサプライズなのに知っちゃってたし。
この情報収集がなかったらきっと映画ももっと楽しめたんだろうなぁと思ってしまうわけです。
MAXチャンミンわくわくしていただけに…我慢のできなかった自分の馬鹿ッ!!!
今回のことを教訓に今度からはどんなに楽しみでも情報収集は控えるようにしたいと思いました…嗚呼…。


チャンミンの演技ですが、とても素敵でした。
"元北朝鮮のスパイで祖国から追われる爆弾工作員"という複雑かつ影のある難しい役どころを
"外国人俳優"としてしっかりと演じきっていたと思います。
ちょっとハンサムすぎる気はしますが(笑)
憂いのある表情やちょっと湿気を帯びた雰囲気などを纏い、繊細なモモという役を体現していました。
この仕事ぶりだったらきっとまた他の映画からもお呼びがかかるはず。
もっとチャンミンの演技を見てみたくなりました。
見せ場も数多くありますし、俳優・チャンミンが観たい方は映画館で観て絶対に損はないです。
なによりスクリーンサイズでチャンミンの美しい顔・姿が観れる幸せ…!←
ぶっちゃけもう一回観に行きたいです、今度はチャンミンをひたすら愛でるために…!(大真面目)




とはいえ、映画自体の感想は以上のような感じだったんですよねぇ…。
なんか…これは私の問題なのかもしれないなぁと思わずにはいられないくらい
何も残らない映画鑑賞が続いています…。
感動インポなのでしょうか(涙)