ミーハーでごめんね

ミーハーでごめんね

I AM LOWBROW, AND I'M SORRY.

ファミリー・ツリー

素敵な映画だったー。


穏やかで美しいハワイの風景や音楽と、
主人公に次々と降りかかるシビアな現実とのコントラストが凄く良い。
全体的に客観的に描かれていてドライ。
ほんのりと苦みが漂っていて、それもまた心地良い。


見てるだけでリラックスできるハワイ独特のムードは大好きです。
ハワイという地が、これから死にゆく妻を許さざるえない主人公のやり場の無い怒りと悲しみを包み込んでくれる…
…と、いうわけでもない。
仕事人間だったゆえに子育てを妻にまかせっきりで娘たちの扱いもわからずギクシャク。
そんな情けない主人公、マットをジョージ・クルーニーが人間味たっぷりに演じています。
失われたものを取り戻すために、新たな一歩を踏み出すために、
一生懸命奔走する"お父さん"がとっても可愛いです。


キャストが皆ひと癖ふた癖あって、それぞれがとても良い味を出していました。
主人公の娘のボーイフレンド、ニック・クロース演じるシドはその最たるもの(笑)
ハンサムじゃないしぽっちゃりしてるしお馬鹿で礼儀知らず…なのに何故か主人公家族と行動を共にする。
でもストーリーが進むごとに不思議と愛着が沸いてくる、欠かせない不思議なキャラクター。
彼のようなよくわからない存在がこの映画独特のいい感じの余白のひとつになっています。


過剰な表現や演出は無く、多くは語られず、感じるタイプの映画かと。
ラストのフェードアウトの仕方も良かった、主人公家族の"現在"がそこによく表れていました。
とにかく、ハワイ!ハワイ!ハワイ!最初から最後までハワイ!
ストーリーに加え、ハワイの独特の空気に包まれて観たあとは寛大な気持ちになります。
そしてハワイに行きたくなります。